公式アカウント

フォーラムで会いましょう ~その後~/金琴純

2023年11月29日 15:54 コラム

オール三重で作り上げた大舞台

心を一つにし、「ウリ民族フォーラム2023in三重」に臨んだ実行委員と同胞たち

最高のフォーラムにしよう!-「ウリ民族フォーラム2023in三重」開催前の幹事会での締めのひと言。金哲奎会長のシンプルな言葉から全てが伝わる。幹事たちに雑念はなかった。

9月17日当日。開場前、心境を聞くと「空っぽです」と金会長の答え。会場で来場者に囲まれ次々と握手を求められる姿は、まるでテーマパークの人気キャラクターのようだった。開場後のロビーの一角は三重同胞大同窓会となり「誰々が来ている!こっち、こっち!」とにぎやかだった。

技術指導者から出演者までオール三重で作り上げた舞台。大トリである農楽の最後「イオガジャ(つないでいこう)三重!」のシュプレヒコールは大きな拍手と歓声にかき消され、聞こえないほどだった。1部の映像は三重トンポの心をゆさぶり、パネルディスカッションで三重同胞社会の現状を訴え、最後に金会長が壮大な夢を語り、私たちに未来を見せた。

来場者の感想をいくつか紹介したい。

「地元の人たちで準備して、トンポがひとつになっている様子は会場に入った瞬間の雰囲気からも伝わった」(桑名市在住60代女性)、「同じような小さい規模の三重でこれだけのフォーラムが出来るとは…。この刺激を地元に持ち帰り、頑張りたい」(朝青奈良県本部委員長)、「園児から大人まで出演者の芸術性が高くて驚いた。三重に負けないようにがんばる。イオガジャ和歌山!」(和歌山のオモニたち)、「青商会活動をしている教え子や、映像で懐かしい面々を見られて、千葉から見に来た甲斐があった。三重に来る時は近鉄電車の車窓からいつもハッキョを見ている」(50代男性・元四日市初中教員)、「私は朝鮮学校が大好きで、糸のように細い縁で今もなんとか繋がっている。これからもずっと絶やすことなく繋げていく道を歩んでいきたいと改めて思った」(愛知県在住50代女性)。

三重県出身者もそうでない人も、在日のパワーを感じ、気持ちを新たに明日からまた踏ん張る糧を得る場となった。

同月29日に第16回幹事会があった。「もう幹事会?早や!」と、驚きながらいつもの某事務所に行った。まだまだフォーラムの興奮が冷めきらない幹事たちが感想など話しあう様子をイメージしていたが、浮かれる様子は微塵もなく拍子抜けするくらいあっけないほど普段通り。淡々と年間総括を始めた。すでに先のことに全意識が向いている。目指すのはフォーラムの成功ではなくその先にあるものだ。大きな変化が目に見えてあるわけではないが、フォーラム前に比べると何かが違っていた。

幹事たちは初めて大きな組織に属することで、各々の役割、団結力がいかに大事かを学んだ、しばらく在日社会から離れていたけどもう少し深く関わりたいと思えるようになった、地域の方や日本の各団体などと繋がることで三重青商会の認知を広めたい、将来的に法人化も視野に入れた事業を展開したいと語り合っていた。

同胞たちのために汗を流し続けた

三重同胞社会のために何かしたい、しなければという気持ちだけでひたすら実行してきた過程で、これまで空々漠々だったことがハッキリしてきた。

まずは今期の活動を最後までやりきる。同時に来期に向けての構想を広げる。フォーラム開催にあたり掲げたスローガン「1人の一歩より100人の一歩を」-幹事それぞれの歩幅は異なれど、同じ方向を向いていればそれでいい。あっと言う間に次の1年も過ぎていくのだろう。

中央青商会の宋明男幹事長の言葉を借りるならば、私たちの「闘う準備」は整った。とっくに消えたと思っていた火が再び灯った。

この間感じた三重トンポの一番の変化は「頑張っているね」から「一緒に頑張ろうね」になったことで、幹事たちはそれが何より嬉しいと言う。フォーラムに携わった約100人、そして会場に来てくれた三重トンポは300人を超え、三重県内に3600人いるという特別永住者数の500人近くが集まった。ともに歩を進める仲間がこれだけいる。

10月22日実行委員会の解散式では、まだスタートラインに立っただけだ、これまでと同じ轍は踏まないようにしよう、今からが大事だというところで意見が一致した。まだ達成していない目標があることを共有し、まずはこの先1年をしっかりやっていく決意を固めた。

実行委員会会議のようす

各地で行われている青商会総会、挨拶の中で必ずと言っていいほど三重フォーラムについて言及されているらしい。女性重唱に出演した四日市初中オモニ会の林那美さんは「他県の人にこの三重感、分かってもらえるかな」と会場で思ったというがそれは杞憂だったようだ。三重青商会の仕掛けた起爆剤は日本各地の同胞社会に広がり、新しい火種が次々と生まれている。

「これからも共に闘っていきましょう!」

昨年11月から始めた記録係を終えた私の携帯に届いた金会長からのメッセージ。

しかと受け止めた。「ハッキョを守る人」に「トンポを守る人」が加わった三重青商会。問題山積み、どれもこれも個人の力では何ともならないが、この夏、熱くて濃い時間を過ごした私たちならできると思う。そう信じられることが私自身の大きな変化だ。

当日は舞台裏を撮影し、本番を客席で観られなかったことが悔やまれる。DVDの完成が待ち遠しい。

(「ウリ民族フォーラム2023in三重」記録係)

Facebook にシェア
LINEで送る