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短編小説「百日紅」 20/クォン・ジョンウン

2023年11月11日 09:00 短編小説

ヒョン・ウヒョクは午前中、トンネルに石灰を塗り、午後は講習会に行く準備でいそがしく働いた。講習会の期間に事故が起きないようにするためには、多くのことをやっておかなければならない。落石の危険のある石は事前に処理しなければならなかった。

かれは細引きで編んだ袋に、くさび、かなづち、綱、ペンキ缶などを入れて崖をよじ登った。危険だと思われる石はくさびで固定し、落石寸前のものはころげ落とした。ひびの入った岩壁にはペンキを塗って目だちやすくした。足場の悪いところでは網を腰に巻きつけて空中にぶらさがって作業をした。峠をいくつも越えて仕事をしていくうちに手袋がぼろぼろになり、手は傷だらけになった。

ヒョン・ウヒョクが作業を終えて床についたのは夜もかなり遅くなってからだった。

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