公式アカウント

劇団アランサムセ結成35周年公演/不屈の精神で夢に向かう

2023年10月26日 17:04 文化 文化・歴史

劇団アランサムセ(아랑삶세)結成35周年公演「노고지리-つばさ-」が10月20~22日、東京・高田馬場ラビネストで上演された。劇団アランサムセは1988年の結成以来、舞台を通して在日朝鮮人の生き様(삶)を届けてきた。出演者らは今回の作品で、個々人の役と真剣に向き合いながら、自分の思いを丁寧に重ね合わせていった。

“「わらべ唄」を大切に”

「男」に促され、初めて舞台に上がった時を思い起こす「女」

今作は7・4共同声明に感化された南の作家が上梓した戯曲「날개(翼)」を脚色し、2017年に上演した「날개-つばさ-」をさらに改作したもの。

劇団アランサムセを主宰し、今回の作品で2017年の上演時と同じく「老人」を演じた金正浩座長は緊迫する情勢下で上演された今作のテーマは「7・4共同声明から51年経った現状を問うことだ」と話す。「(米国が引き起こした)ウクライナ紛争やコロナ禍などによって人々の『分断』は世界に広まった」(金正浩座長)。

それをテーマにした今作は、今を生きる人々が先代たちの遺志を継いで主体的に祖国統一運動を切り開いていくことを訴える。さらに、夢を諦めて過去を忘れ去ることで「楽に生きる様」を否定し、夢を堂々と語り過去と向き合いながら生きていくことを呼びかけた。

夢を諦めかけた在日朝鮮人の「女」を演じ、脚本も担当した金恵玲さん(41)は「コロナ禍などの世界の変化や、個人生活で起きた事々によって自身の価値観が変わった。今の価値観では17年の『つばさ』に共感できなかったので書き直した」と改作の経緯を語る。前作では、「女」が演劇活動の継続を悩み、諦めかけていたストーリーが展開された。金さんはその悩みが「まだ浅かった。今回は(悩みを)より具体化し、深掘りしようと努めた」と振り返る。特段、作品に反映されたのは「ハンメ」への思いだ。

Facebook にシェア
LINEで送る