ウリマルの思い出／金愛実

前回に続き、留学中のエピソードを紹介したい。

留学先の上海の大学で出会ったある友人が、週末に学外で行われている「中日韓英交友会」という異文化交流会を紹介してくれた。イベントは定期的に開催されており、時間に余裕がある時は私も一緒に参加をするようになった。

そこでは地方から来た中国人や、現地生まれの中国人、南朝鮮の同胞や日本人を中心に異なる国の人々が集まっていた。毎回ローテーションでいくつかのグループに分けられ、定められた時間内に指定のグループで自由に会話を楽しむことができる。

その日は、偶然にも中国東北部から来た朝鮮族の会社員と、南朝鮮からの留学生と同じグループになった。そこで私たちは自己紹介をして、その後各々の地域で話される「ウリマル」や中国語を交えながら会話をした。そのとき私は、同じ空間で北南の朝鮮語、そして「在日朝鮮語」が飛び交っていることに、気恥ずかしくも胸が躍るような、言葉にしがたい不思議な気分になった。それと同時に分断の現実を突き付けられているようでもあり、胸が締め付けられた。

海外で自分と同じ背景を持った人たちのコミュニティーがなかった私にとって、自身が在日コリアンであると再認識することができた機会でもあり、何年経っても記憶に残っている思い出だ。

（愛知県愛西市在住）