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子どもと行く美術館/金潤実

2023年09月04日 09:00 それぞれの四季

この夏、妹と1歳半の甥っ子と一緒に美術館へ行った。子どもと一緒だとゆっくりは観れないだろうが、むしろ他に誰かいないと子連れで行ける場所は限られるし諦めてきただろうと思い、東京への出張を早入りし東京に住む妹を誘ってみたのだ。甥っ子はこれが美術館デビュー、妹は数年ぶりだそう。

観た展覧会は東京都現代美術館の「あ、共感とかじゃなくて。」展と「デイヴィッド・ホックニー」展。ちょうど昼寝の時間を狙って出発し、そのまま寝続けてくれたら…という大人の希望的観測はすぐに打ち砕かれ、美術館に着いた瞬間に目が覚める甥っ子。歩きたい盛りでできるだけ私が手を繋いだり抱っこしたりを繰り返し、甥っ子の興味の示す方へ導かれながら展覧会を鑑賞。だいぶ駆け足で神経もすり減ったが、ある意味新鮮で面白かった。

前者の展示には子どもを想定して作られたであろう展示空間があり、甥っ子もそこで居心地良く遊んで、とてもよかった。しかし後者の観覧途中でぐずりだし、私ではどうにもできず、結局妹が甥っ子を連れて途中退出をした。周囲の目が気になるのも相まって、私も妹も疲労困憊した。

それで思ったのは、どの美術館にも無料の託児所があったらすごくいいのに。子育てをする人が行動を制限され多様な経験から省かれてしまうのが「当たり前」じゃなくなる日は来るのだろうか?

(大阪市在住、朝鮮学校美術講師)

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