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〈トンポの暮らしを支える/こちら同胞法律・生活センターです! 37〉障害福祉、どんな支援を受けられるの?

2023年08月17日 17:00 寄稿

同胞法律・生活センターに寄せられる相談の中に、家族の病気や障害、心の健康などに関する内容もあります。心配、不安があってもどこに相談したらよいのか、どのようなサービスがあるのか、適切な情報を得ることはなかなか難しいもの。今回は障害福祉がテーマです。

Q 小学2年生の長男についてです。幼稚園に入った時、同じ年齢の子と比べて言葉が遅く、落ち着きがない様子が気になっていました。小学校に入っても授業中にじっと座っていられなかったり、黒板の書き写しや、算数が苦手など、授業についていけません。担任から発達障害かもしれないと言われました。長男についてどこに相談に行けばよいのか、また障害がわかった場合、どのような支援を受けることができるのでしょうか?

A 発達障害とは、自閉症スペクトラム(ASD)・アスペルガー障害・広汎性発達障害・学習障害(LD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)・他これに類する脳機能の障害の総称です。知的には明らかな障害がなく、見た目にはわかりにくいけれど生きにくさの視点からお子さん自身が困っていること、相談内容から学校の授業についていけていないことが現状何より心配なことと言えます。

発達障害が懸念される場合は関係機関による心理検査・発達検査・知能検査などによって各障害の基準に沿った判定を受けることで、お子さんの苦手や困り感の「原因」を知り、適切なアプローチや対策のヒントなどを得ることができます。

診断は小児科・児童精神科・小児神経科や発達外来などの医療機関で受けることができます。また診断がなくても利用可能な支援や福祉サービスもありますので、現在のお子さんの年齢や困っている内容、希望する支援内容などから、まずは受診するかどうかを児童福祉の専門機関で相談することをお勧めします。

市区町村や都道府県の発達障害児支援センターなどでは地域の医療機関リストを作成し紹介も行っていますし、アセスメント(見立て)や個別心理面談、言語療法・作業療法などの情報も併せて提供してくれるので、それらを参考に実際に受診する医療機関を選ぶのがよいと思います。

発達障害の判定が出ると日本の学校では発達障害児者支援法に則った支援、必要に応じた個別支援や加配などの支援が受けられたり、障害の度合いによっては「放課後等デイサービス」や「移動支援サービス」などお子さんに必要と思しき障害福祉サービスを受けることも可能となります。但し、その対象は学校教育法で規定するいわゆる「一条校」で就学する障害児となっているため、朝鮮学校に通うお子さんは利用することができません。児童福祉法の理念からしても大いに問題があるところです。もっとも、公的な療育や言語指導はじめとした支援などは発達障害児童支援センターなどで受けることができます。

Q 高校2年生の時、幻聴と不眠に悩まされ、統合失調症と診断されました。通院と服薬で大学を卒業し、就職もしました。しかし、人間関係や残業のストレスからまた幻聴などの症状が出るようになり、退職。ここ2年間は何もしていませんが、通院しながら就労に向けて準備をしたいと思っています。精神保健福祉手帳2級ですが、どのような支援が受けられますか?

A 統合失調症を患う方にはその等級や障害区分違による違いはありますが、下記のような障害福祉サービスを受けることができます。

①障害年金

国民年金または厚生年金に加入していることにより、一定の障害状態になった場合にその障害の状態などにより支給される年金。ただし若年時に病気の発症が始まった場合は医師の診断書により年金の受給が可能となります。

②自立支援医療(精神通院医療費の公費負担)

障害者総合支援法における障害者への医療費の負担を軽減するための制度

③精神障害者保健福祉手帳

精神保健福祉法に規定される精神障害者および発達障害者が取得できる障害者手帳で、これを持つことで様々な障害福祉サービスや公共交通料金はじめ公共機関や美術館などの利用料金の減額などが行われます。詳細は手帳の等級や福祉サービス利用にあたり受けられる障害区分によって異なりますが、これらは行政機関・保健所精神保健福祉課で冊子が配布されていますし、ネットでも検索できます。

④特別障害者給付金制度

一定の時期に国民年金に加入していなかった人を対象とした特別な給付金

就労に関しては地域にある「障害者総合職業センター」で精神障害を持つ方への具体的な支援が法律で定められています。まずは最寄りの当該機関への連絡や訪問相談をお勧めします。一般就労から障害への配慮のある就労先の紹介に始まり、相談員によるつなぎの支援なども行います。また通院先の相談窓口でも相談員や「地域活動支援センター」との連携の下でそれらの支援を行っていますので、相談窓口に問い合わせたり担当医に相談してみましょう。今すぐに働くことが不安な場合は病院が実施しているデイサービスはじめ、社会に慣れ復帰できるまでを支えるサービスなどもありますので相談してみてください。

(李恵順 社会福祉士)

*同胞法律・生活センターでは福祉の各分野の専門家との相談もできます。お気軽にご相談ください。

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