公式アカウント

【投稿】長生炭鉱をめぐって/許侑琳

2023年08月09日 09:00 寄稿

刻む会代表に案内され行ったフィールドワーク

7月29日、朝鮮大学校の学生たちの夏期社会実践活動の一環として、山口初中出身の朝大生3人と朝青山口の朝青員6人(山口初中教員3人を含む)の計9人で長生炭鉱跡の草刈りおよびフィールドワークを行った。草刈りには「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」の代表はじめ会員の方々も駆けつけてくれた。

長生炭鉱とは宇部市にある海底炭鉱のことで、1942年2月3日に海水が流入し、183人の犠牲者を出した。そのうち136人が朝鮮人であった。

30℃を超える酷暑のなか、草刈りは行われた。殉難者之碑の周りとそこに続く道に生えた太刀打ちできない程のものすごい量の草を約1時間刈った後、刻む会の代表に案内され、フィールドワークを行った。

一行は、殉難者之碑や海底炭鉱につながる坑口と思われる場所、刻む会が建てた追悼碑をまわった。

献花を行う朝大生たち

事故当時、水が垂れて危ない兆候があり、監督者は入るまいとする労働者を叩いて中に入れ働かせた結果、事故に遭わせた。その後、坑口を閉めて逃げられなくし、それから30年後には坑口自体を埋めてしまったという。植民地下での不幸を強いられた朝鮮人犠牲者の遺骨を発掘する課題があるにもかかわらず、いまは坑口の場所すら見当たらない。

歴史の加害を隠すように、遺骨を取り出すこともなく坑口が埋められた事実が、植民地下での犯罪行為に対する反省はおろか、強制労働はなかったと平然と歴史歪曲をしている。さらには、当然のように朝鮮学校を無償化制度から排除する。この地を巡り、改めて罪の上塗り、恥の上塗りと相通じるものを感じさせた。

ピーヤ(坑道の排水、排気のための管)が浮かぶ海に向かって朝大生3人が献花を行った。

参加者たち

いまだ冷たい海底に取り残された犠牲者たち。安らかに眠れるわけがない。一刻も早く遺骨が発掘され海に献花をすることがなくなるよう願ってやまない。そのためには日本政府が植民地の過去を清算し、責任を取らねばならない。

歴史を学び、教える一人として、植民地過去清算という朝鮮民族の歴史的課題を解いていく一人としてありたいと強く思った。

(山口初中教員)

Facebook にシェア
LINEで送る