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東アジア共同ワークショップ/北海道・朱鞠内で

2022年08月30日 09:13 歴史

強制労働の史実前に語り合う

8月19日から20日にかけて、北海道・朱鞠内で「東アジア共同ワークショップ」が開催された。写真は、焼失した庫裏前で開催された強制労働犠牲者追悼式

8月19日から20日にかけて、北海道・朱鞠内で、東アジア市民ネットワークと笹の墓標展示館再生実行委員会が主催する「東アジア共同ワークショップ」が開催された。東京、大阪、京都、広島など日本各地から約40人が参加した。

1997年、「日韓共同ワークショップ」の名で始まったこの取り組みは、2001年からは「東アジアワークショップ」に名称を変え開催。ワークショップを通じ、日本や南朝鮮、在日朝鮮人の若者たちが共同で、北海道各地の強制労働犠牲者らの遺骨発掘作業を行ってきた。

朝鮮解放から70年を迎えた2015年には、その間に発掘された115柱の遺骨が南朝鮮の遺族らのもとへ奉還された。

開始から25年の節目を迎えた今回のワークショップでは、「国境を超えた市民運動」としてはじまった活動の歩みを振り返り、今後の活動を考えようと、交流集会を通じた関係者たちの思いや近況などが共有された。またその他にも、犠牲者らがたどった歴史を目に留め、記憶・継承していくため、戦時下の強制労働で犠牲となった死者を弔い、遺骨と位牌を安置してきた旧光顕寺跡地での追悼会、民族の和解と友好を願う像・通称「願いの像」や、朱鞠内(雨竜)ダム建設によりできた日本最大の人口湖である朱鞠内湖など、強制労働の跡地へのフィールドワークをおこなった。

旧光顕寺の本堂を改装し95年に建てられた「展示館」(写真)は、2019年の積雪被害により倒壊した。(「笹の墓標展示館」再建CFサイトより)

ワークショップに先立ち、開会式が行われた。

あいさつに立った開催実行委員会の殿平善彦共同代表(76)は、コロナ禍の影響で、朱鞠内での集いを3年ほど開催できていなかったと前置きしながら、遺骨発掘や追悼とともに、歴史を発信・共有する拠点となっていた、「笹の墓標展示館」の現状について報告した。

旧光顕寺の本堂を改装し95年に建てられた「展示館」は、2019年の積雪被害により、本堂部分が大きく傾き、関係者らが解体・再生を決意していた矢先、2020年冬に雪の重みで倒壊。残っていた庫裏も焼失し「すべてなくなってしまった」。今年6月には、関係者らが後片付けを行い、燃え跡からお骨を回収し、仮安置している状況だ。

殿平共同代表は、「可能な限り犠牲者の遺骨を回収し、これまで運動を続けてきた歴史を後世に継承したい」と述べたうえで、このような大事な局面でのワークショップ開催であることを強調した。

強制労働の跡地へのフィールドワークをおこなう参加者たち

さらに、同氏は、現在「展示館」を再建するために、各地で行われている巡回展「強制労働犠牲者の史実を伝える~北海道『笹の墓標展示館』があなたの街へ」の取り組みについても紹介しながら「次世代とも力を合わせて『展示館』の再建を果たしたい。その一番の基礎になる集まりがワークショップだ。朱鞠内の地であった強制労働の史実に向き合う過程で、参加者たちが語り合い、つながりをつくり、これから共に歩んでいければ」と願いを込めた。

各地から集まった参加者たちは、ワークショップを通じて歴史に向き合い、理解と交流を深めた。

(韓賢珠)

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