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〈特集・ヘイト解消法5年〉強い世論の声、必要/院内集会

2021年06月03日 14:16 権利 民族教育

5月26日に行われたオンライン院内集会「ヘイトスピーチ解消法から5年-差別禁止法の現段階」では、外国人差別をとりまく現状と課題についてNGO外国人人権法連絡会の事務局長・師岡康子弁護士から報告があった。

【過程】初めての「反人種差別法」

発言する師岡氏

「そもそも日本での外国人の扱いは、『原則』と『例外』が倒錯している」。冒頭、師岡氏はこう訴えた。

日本政府は1995年、国連人種差別撤廃条約を批准するも、日本には差別禁止法を作るほどの人種差別存は存在しないという主張のもと、20年もの間、外国人差別に対する措置を怠り、条約批准国としての義務を果たしてこなかった。

「障害者差別など他のマイノリティに関しては基本法が策定されていたが、外国人に対する差別は野放しにされ続けていた」(師岡氏)。

今日までの外国人差別根絶に向けた取り組みは、被差別当事者とその関係者によって進められてきた。当事者及び関係者たちは、日本における人種差別禁止法の制定に向けて、14年に人種差別撤廃基本法を国会に提案。翌年には野党議員7人が人種差別撤廃施策推進法案を参議院に提出し、16年、与党による解消法案が成立した。当事者らの長年の闘いがかたちとなった「解消法」の成立は「日本で初めての『反人種差別法』であり、日本社会の絶望に風穴があいた瞬間」だったと、師岡氏は強調した。

【効果】「確かに見られた」

「解消法」成立後、「一定の効果は確かに見られた」と師岡氏は話す。「川崎市などではヘイトデモ・街宣、ビラ配布を禁止する裁判所からの仮処分決定が出やすくなり、これまでヘイト団体を警護してきた警察も、デモの届出時点でヘイトスピーチをしないよう注意するようになった」。

また、人種差別を巡る民事裁判でも進展があった。裁判に「解消法」が用いられ、ヘイトスピーチが差別として認定される流れが作り出された。昨今、朝鮮半島をルーツに持つ中根寧生さん(18)へのヘイトスピーチをブログに書き込んだ男性に対し、東京高裁は約130万円の損害賠償の支払いを命じている。(5月12日)

解消法施行前後のヘイト街宣などの数(師岡氏提供資料より抜粋)

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