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〈青商会、挑戦と継承の足跡〉Ep.5 ピョンコマ公演の実現へ(2)/学生少年らの姿に成功を確信

2021年02月14日 08:00 主要ニュース

各地の役員たちの中で賛否両論が起こった末に平壌学生少年芸術団(ピョンコマ)公演の開催を決意した青商会は、2002年4月に組まれた代表団の祖国訪問(73人)を機に一体感を高め、公演準備に本腰を入れて取り組み始めた。

中央青商会4代目会長の黄元圭さん(59、元・愛知県青商会会長)が話すように、当時の青商会はまさに「アゲアゲムード」。実行委員らが集まる会議は「毎回夢と希望にあふれていた。仕事は山のようにあったが、全員が生き生きと準備に励んでいた」。中央青商会副会長の趙顕達さん(59、静岡県青商会初代会長、現・静岡県商工会副会長)いわく、役員間でピョンコマの話題が出ると「みんな楽しいことばかり考えていた」という。

ピョンコマの子どもたちと記念撮影を行う青商会会員たち

「日本を訪れた子どもたちにはどんな美味しいご飯を食べさせてあげようかとか、差し入れのお菓子はどれくらい準備すればいいかとか、他愛もない話が尽きなかった。公演の開催地を選定する際には『ウリハッセンや地域同胞のためにも、うちの地元で公演を開催させてくれ』と自ら手を挙げる地域が少なくなかった」

他方では、夢を具体的な「形」にしていく活動が着々と進んでいた。青商会代表団による4月の祖国訪問後には、中央青商会の常任幹事や専従活動家らが事前準備のため祖国を2度訪問。初回に万景台学生少年宮殿に足を運んだ一行は、公演出演者の選考会に参加した。この時、中央青商会副会長の柳日秀さん(59、千葉県青商会2代目会長、現・千葉県商工会副会長)が覚えている限りでは、「独唱の演目だけでも何十人も候補がいた」という。

「少年宮殿の総長が名前を呼ぶと1人ずつ出てきて、それぞれが得意な歌を披露してくれた。最初に出てきた子どもは1曲しか歌わなかったが、総長の指示で途中から2曲を歌うようになった。すると、一番目の子どもが臆することなく『自分も2曲歌わせてください!』と直訴し、それを受けた総長も『よし、歌ってみなさい』と。両者のフラットな関係性を見てすごいなと思ったし、何よりピョンコマ訪日公演にかける子どもたちの意気込みに胸を打たれた」(柳日秀さん)

選考会には、幼少期から各国でのピョンコマ公演に出演し、「チビっ子チャンゴ独奏家」として名を馳せていたキム・チョルくん(当時14歳)も登場。しかし、成長期に入り身体が大きくなっていたこともあり、かつてほどのインパクトはなかった。そこで持ち上がった案が、キム・チョルくんと、背丈が小さな7歳のチャンゴ演奏家を同時に舞台に上げようというもの。試しに出演してもらうと、2人が織りなす演奏の方がよりいっそう軽快で、凸凹コンビが肩車をしながらチャンゴを打ち鳴らす光景などは斬新そのものであった。

一生懸命に演目の練習に励む学生少年宮殿の子どもたち

このような選考過程を経て、舞台に出演できるレベルにある1千人の学生少年たちの中から、選りすぐりの才能を備えた7歳から15歳までの37人が選ばれた。その多くが、直近の中国、マカオ、シンガポール、南朝鮮などでの公演、朝鮮での「迎春の集い」で活躍した子どもたちだった。

数カ月後、再び祖国を訪問した中央青商会の役員らは学生少年宮殿でのリハーサルを観覧した。一行は期待感を胸にしまいながら各演目を見届けた。が、宮殿側が準備した公演内容と青商会側のイメージとの間には、乖離があった。

「どうでしたか?」。リハーサル後の応接室で、リョム・ユンハク総長は青商会側の意見を聞いた。中央青商会の役員らは正直に答えた。

「在日同胞社会の生活や歴史、同胞たちの心情を反映した演目をもっと盛り込んだほうがいいでしょう。私たちが学生時代に親しんだ歌や日本でポピュラーな歌などを披露すれば、観客たちも喜ぶはずです」

青商会側は率直な意見を伝え、「また明日観に来ます」と言って席を立とうとした。この時、幹事長の李長五さん(現・千葉県商工会理事長)は、学生時代に吹奏楽部に所属していた経験から「演目全般を変更するには少なくても3日はかかるだろう」と考えていた。しかし、宮殿の演出家は青商会一行を引き止め、こう告げた。「30分だけ待ってください!」

ピョンコマ公演で披露する合唱の練習に励む学生少年宮殿の子どもたち

30分後、公演を観覧した青商会一行は、その目を疑った。無理難題を押し付けたにも関わらず、つい先ほど伝えた要望にそって公演の内容が8割方変わり、素晴らしい演目が次から次へと披露されたのだ。青商会ではかねてから「1人が二役も三役もできる少数精鋭の集団」を構成できればと考えていたが、学生少年たちの芸術レベルがこれほど抜きん出ているとは思ってもいなかった。

その場にいた中央青商会副会長の柳日秀さんは、「われわれの公演は同胞らの大きな関心を集めていると聞いている。その期待に必ず応えたい」(リョム総長)という宮殿関係者の熱意に触れ、改めて確信した。

「ピョンコマ公演が日本で行われれば、間違いなく同胞たちに大きな感動と希望を与えられる」

(つづく、李永徳)

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