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確実な情報に基づき、冷静な行動を/新型コロナウィルス感染症、新たなステージに直面して

2020年06月02日 09:00 主要ニュース

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が瞬く間に世界に広がる中、日本においても感染の波が押し寄せ、多くの在日同胞らも地方自治体の自粛要請により、企業活動の制限、ウリ学校休校などを余儀なくされています。同胞高齢者、日々の生活の糧を得るため自営している商工人、教育現場で対応に追われている教職員などすべての同胞がコロナ禍に巻き込まれています。

日々刻々と状況変化

このような困難の中でも同胞社会では様々な情報を共有し、互助精神を発揮しながら困難を乗り越えるべく忍耐強く非日常的な生活を繰り返しています。

新型コロナウィルス感染症は日々刻々と状況が変わります。確かなことは、いつの間にか動物からヒト、さらにヒトからヒトへの感染が広がったと考えられています。感染している人の咳・くしゃみや会話によって生じる「しぶき」を吸入したり、ウィルスが含まれる喀痰や唾液などに接触した手で口や鼻、目を触ったりすることで感染します。特定の医療行為によりエアロゾル(噴出された霧状の塊)が発生し、しばらく浮遊することでいわゆる空気感染をする可能性も指摘されています。

新型コロナに感染した場合、発熱・呼吸器症状に加え多彩な身体症状が伴います。嗅覚・味覚障害といった特異な症状も指摘されており、既知のウィルス感染症とは異なった様相を呈しています。実際はどうなのかはまだ注目段階ですが、日常的に注意すべき点であることは間違いありません。

5月を過ぎて、4月のピーク時から新規感染者は減っているものの、社会活動の制限を緩和した後の再燃も心配されていますので、決して自己判断で勝手な行動をしないよう気を付けなければなりません。

感染が一時的に収束にむかったとしても第2波への備えを遅滞なく確実に行なう必要があります。

このウィルス禍が収束するのはいつごろかというのは誰しも知りたいところですが、これまでの流行ウィルスとはだいぶ様相が違うようなので、判断は容易にはできません。気候が温かくなればウィルスの勢いは衰えるというのが通説ですが、いったん下火になっても秋以降に再燃することが危惧されています。少なくとも月の単位ではなく、季節や年の単位で流行が続くと大方の専門家は予想しているようです。一度広がってしまったウィルス感染を収束させるためにはワクチンを開発するか、集団免疫(国民の60~70%が抗体を持つ)を獲得するか、いずれしかないというのが医学的見解です。ワクチンの開発と治験はすでに始まっていますが、実用化には早くてもあと1年以上はかかるといわれています。集団免疫の評価には抗体検査などが必要ですが、その獲得にはまだまだしばらく時間がかかります。

自己防衛の徹底を

それまでは、それぞれ個々人が予防法に基づき自己防衛を徹底し、自分や家族、同胞たちを守っていくしかありません。

発熱や咳のある人と密接接触しないことが予防の基本ですが(少なくとも2メートル以上離れる)、日常での予防で最も重要なのは、こまめな手洗いです。標準的な手洗い方法については、ネットなどで紹介されているので、そちらをご参照ください。

マスク着用についてですが、一般に市販されているマスクではウィルスを含んだ飛沫粒子が通り抜けるので、日常的には感染防止効果は望めません。症状のある人が他人に飛沫を飛ばさないように咳エチケットとして着用するのがこれまでの考え方でした。

ところが、このウィルスは感染しても発熱がなく、咳やくしゃみもない無症状の人が少なからず存在するといわれています。それゆえ、たとえ症状がなくてもウィルスが潜んでいて他人にうつすことが想定されます。少しでも人と接する際には必ずマスクをする、社会的距離を保つというのが今や社会的マナーとなっています。

感染危険度の高い場所には行かないことは常識であり、かねてより三密(換気の悪い密閉空間、多数が集まる密集場所、間近で会話や発声をする密接場面)を避けることが提唱されています。定期的に窓を開けるなど換気を行うこともすすめられています。

バランスの良い食事や十分な睡眠を心がけるのはもちろんのこと、この際ですからタバコを吸う人は禁煙に踏み切ってはいかがでしょうか。

実地臨床で使われる治療薬については最近いくつか承認されましたが、通常より早い特例的認可で、まだ最終的な総合評価はなされていません。現段階では、期待をもって治療報告を待つばかりです。

デマ情報に注意

インターネットが普及し、世界中のどこにいても誰もが簡単に多くの情報を手に入れられ、拡散できるようになりました。その一方で、根拠のない誤った情報が大量に拡散して混乱を引き起こすインフォデミック(Infodemic=information epidemic 「情報の伝染」の短縮形)が問題となっています。

今般の新型コロナウィルスに関しても、感染者が急に増えたことによる不安感からマスクの大量買いが見られ、さらには間違った噂によりトイレットペーパーまでが店頭からなくなるという事態が発生しました。人々の日常生活に支障をきたすだけでなく、医療の現場で本当に必要な人にマスクが行き渡らなくなるなど、大混乱が起こりました。また、相変わらず民族差別的な言説は後を絶たず、ことさら不安をあおるようなテレビ番組も見受けられます。

免疫力を高めると期待されて納豆やキムチなどの発酵食品がよく売れているとのことです。これらは健康維持にとってすでに定評のある食品ではありますが、新型コロナウィルス感染を予防してくれるという直接効果は証明されていません。あえてウィルス感染にこだわらず、普段の食事に積極的に取り入れるようにする、ということでよいのではないでしょうか。

ネットやSNSで流れてくる情報に接したときには安易に信じるのではなく、ちょっと立ち止まって冷静に内容を検討してみることがとても大切です。デマ情報は「短くて、面白くて、意表を突いた」内容ほど、目に留まりやすく拡散しやすいといわれています。われわれに求められるのは、確かな発信元かどうか常に注意を払い、正しい常識と高い倫理観をもって情報に接することです。

同胞たちの絆と連帯

最後に、このたびの新型コロナウィルス騒動においては、感染症そのものだけでなく医療現場の惨状が大きく報道されたことは、みなさんご存じの通りです。さらにこれだけでなく、医療従事者への差別や偏見、人々の社会不安・メンタルヘルス問題、他人に対する極端な嫌がらせや排斥行為などの問題も指摘されています。

新型コロナとの闘いは長期戦を帯びています。

在日本朝鮮人医学協会ではコロナ感染症に関する情報発信を、学校保健をはじめ様々な分野で行っています。

当協会に、総聯系の同胞はもちろん、民団や無所属の同胞も遠慮なくご質問、ご相談をお寄せください。同胞医療人らが懇切丁寧に対応いたします。

歴史に残るであろうコロナウィルス大流行のまっただ中で、誰もが不安を抱えて日々を送っています。相手の姿は見えないけれど、一人一人が確実な情報に基づき、連帯しあって、恐れることなく冷静に行動することが求められています。人類の英知と同胞間の愛と情によって、この難局がかならず克服されることを強く信じ、共に前進してまいりましょう。

在日本朝鮮人医学協会

(朝鮮新報)

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