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〈月間平壌レポート 11月〉増産成果、秘訣は生活文化の向上

2017年11月29日 16:25 主要ニュース 共和国

“仕事に打ち込める環境を”

【平壌発=金志永】朝鮮でも業績が堅調な企業は多くのメディアで紹介される。金正淑平壌製糸工場(平壌市・平川区域)は、朝鮮新報の平壌支局も取材する機会が多い。同工場は、今年も10月の時点で年間生産計画を達成し、さらなる増産を続けている。

福利厚生の充実

製糸工場で働く従業員の80%は女性で、その中に工場の業績アップに大きく貢献する功労者がいる。昨年は党大会開催を前後して行われた「70日戦闘」「200日戦闘」の期間に6年分の計画を達成した20代の女性従業員もいた。それほど頑張る理由について尋ねると、彼女は「仕事に没頭できる環境があるから」と答えた。

金正淑平壌製糸工場の寄宿舎とヘルスセンター「つつじ院」

労働新聞でも紹介された功労者が証言するように、製糸工場は従業員に対する福利厚生が充実している。朝鮮では企業が生産文化と共に生活文化を向上させることが求められている。彼女の職場は、そのモデルケースの一つとして知られている。

最近は、取材で訪れる度に製糸工場の敷地内には福利厚生施設が新築されているのを目撃した。昨年は、つつじ院(진달래원)と名付けられたヘルスセンターがオープンした。今年1月には7階建ての寄宿舎が完成し、現在は体育館を建設中だ。

つつじ院は、浴場と通常のサウナの他にも岩盤浴、トレーニングジムや25mプールを備えている。平壌市内の有名店にも引けを取らない設備だ。従業員とその家族は、いつでも利用できる。工場で取材記者の対応をする史跡室責任者のリ・へソンさん(50)もつつじ院に通って水泳を学んだ。「今は、プールで泳ぐことが仕事で疲れた時の一番効果的なリフレッシュ方法」なのだという。

工場の経営陣は、従業員の生活に気を配ることで結果的に生産性を向上させている。リさんは「私たちの関係は信頼で繋がっている。ここは、一つの大きな家族のようなもの」だと説明してくれた。

工場は、彼女たちにとって職場であり、生活共同体でもある。平壌の郊外に実家がある独身女性は、工場の敷地内にある寄宿舎で生活する。寄宿舎の運営費は工場の負担だ。結婚すれば、工場周辺のアパートで暮らす。この20年間に4棟の高層アパートが建てられた。工場が従業員のために建設したものだ。国家計画によって、この地区にアパートが建てられた場合も、工場の従業員が優先的に入居できるようになっている。リさんによると「従業員の80%は、通勤時間が5分以内のエリアに住んでいる」という。工場が近いので、休日には多くの従業員が家族連れでつつじ院を利用するそうだ。

 「大きな家族」

リさんは、初めて工場を訪れた記者には必ず「製糸工場の昔と今」について語って聞かせる。植民地時代、この地区には日本人が経営する製糸工場があった。数百人の朝鮮人女工が、劣悪な環境で繭から生糸を取り出す作業を強いられた。過酷な労働条件と虐待で知られた製糸工場は、当時「平壌第2監獄」と呼ばれた。

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