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「ミサイル発射」デマで緊急事態煽ったメディア/歴史を忘れ、世界が見えなくなる 浅野健一

2016年02月22日 11:23 主要ニュース 朝鮮半島

〈倭の国・島国日本は17日午後5時45分、鹿児島県の種子島宇宙センターから、「X線天文衛星」と称して長距離弾道ミサイルを発射した〉。

日本の衛星打ち上げ成功について、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)、中国、ロシアなどの報道機関がこう報じたら、日本の政府と民衆はどう反応するだろうか。

朝鮮が打ち上げに成功した地球観測衛星「光明星-4」号。(労働新聞より)

朝鮮が打ち上げに成功した地球観測衛星「光明星-4」号。(労働新聞より)

おどろおどろしく報道

朝日新聞は2月8日1面トップで〈北朝鮮 ミサイル発射 沖縄上空通過 宇宙到達か〉などの横見出しを掲げ、〈北朝鮮は7日午前9時半ごろ、北西部の平安北道・東倉里から「人工衛星の打ち上げ」と称して長距離弾道ミサイルを南に向けて発射した〉と報じた。テレビは連日、朝から晩まで、おどろおどろしく朝鮮の“核とミサイルの脅威”を描き出し、自衛隊によるイージス艦の展開や地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の配備などを映像で伝え、日本が緊急事態にあるかのような報道を続けた。

海外で冒頭のような報道があれば、ほとんどの日本人は「日本国の正式名に、倭の国とか島国を付けるとはけしからん」と怒るだろう。また、宇宙の成り立ちの解明を目指す「アストロH」を搭載したH2Aロケット30号機の打ち上げを、ミサイルと言うのは誤りだと抗議するのではないか。そうであるならば、隣国の主権国家である朝鮮の国名に「北」を付け、朝鮮が地球観測衛星「光明星-4」号を地球軌道に進入させることに完全に成功したことについて、「ミサイルを発射した」と決めつけていいのだろうか。

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