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39回目日朝教育交流のつどい、西東第2初級で

2013年02月13日 18:22 主要ニュース

連帯強め、排外主義から朝鮮学校守る/〝共に未来作る姿、見たい〟

今年で39回目となる「日朝教育交流のつどい2013」(主催=同実行委員会)が11日、西東京朝鮮第2初級学校(東京・町田)で行われた。同行事には、在日本朝鮮人教職員同盟東京、東京都高等学校教職員組合、東京都公立学校教職員組合、日朝学術教育交流協会、都議会議員、市民団体、学父母、学生など約250人が参加した。

参加者たちはまず授業と校内を見学した。幼稚班では数遊び、造形などの授業が、初級部では国語、算数、日本語、社会、理科の授業が行われた。同行事では3年前から、日本学校の教諭が朝鮮学校の生徒たちに授業を行う取り組みが行われている。今年は、町田市立薬師中学校の理科教諭である金塚崇さんが初級部6年の理科「化石のレプリカ作り」を担当した。金塚さんのユーモア溢れる授業に加え、隕石の破片や恐竜の骨の実物に、子どもたちは目を輝かせていた。

元気な声で歌を歌う児童たち

その後体育館では園児、児童らによる小公演が披露された。

公演の前に、同校の李政愛校長があいさつにち、学校創立の経緯について、戦前、町田市にあった多くの軍事施設に強制労働させられた在日一世たちが血と汗によって建てられ、今日まで守られてきたと言及した。校内に展示された、生徒たちが制作したオブジェにある「空に届くくらい」を指しながら、在日一世の愛情が、学父母たちの熱い願い、子どもたちの歌声、未来が空いっぱいに広がっている学校という意味が込められていると語った。そして、「在日一世たちがどのような思いでこの地に校舎を建て、守り、子どもたちに何が受け継がれているのか、どう育っていくのかを、わかっていただければ」と話した。

公演はまず、高学年による合唱「未来への架け橋」で幕をあげた。続いて舞踊「春が来た」、民族打楽器重奏「チャンダンノリ」、合唱「空に届くくらい」などが披露され、参加者たちは子どもたちのほほえましい姿に目を細め、惜しみない拍手を送った。

同校オモニ会が準備した昼食を食べた後、全大会が行われた。

全体会ではまず、同実行委員長である東京都高等学校教職員組合の川上淳執行委員長があいさつした。

発言者たちは、今後いっそう連帯を強め、朝鮮学校を守っていこうと呼びかけた

川上執行委員長は、昨年末、戦後最も右寄りの安倍政権がまたもや誕生したと述べ、朝鮮学校に対する「高校無償化」不適用を省令で制度化しようとするなどの政策転換が急ピッチで行われていると指摘。「朝鮮学校への補助金の問題や『無償化』不適用など、時代に逆行する運動を食い止め、多くの人たちと固くつながって、連帯を強めていきたい」と訴えた。

この日、福岡から訪れた日朝学術教育交流協会の中村元気会長が発言した。中村会長は、「朝鮮学校を取り巻く情勢は大変厳しいが、『高校無償化』適用を求める運動を展開する過程で確実に仲間が増えていったのも事実。3月31日には4千人のデモ行進が東京で行われる予定だ。みんなで声を上げて頑張っていこう」と訴えた。

次に、今村るか東京都議が来賓あいさつを行った。以前から朝鮮学校との交流をしてきたが、政治的には大変厳しい状況にある民主党の政権時代に前進を勝ち取ることができずに申し訳ないと話した。しかし、「朝鮮学校への東京都の補助金復活の問題など、都内の学校への支援を少しでもしていきたい。日本と朝鮮、在日同胞の子どもたちの未来のために、共に手を結び連帯していくことで、みなさんの思いをこれからの都政の中で反映していきたい」と述べた。

初級部6年の授業で行われた「化石のレプリカ作り」2

また、馬場裕子東京都議から送られたあいさつ文が代読されたあと、同校の沿革、建設事業に関わった在日一世の思いや同校教員たちや児童たちの話が映像で紹介された。

「日朝教育交流のつどい2013」(11日、西東京朝鮮第2初級学校)で行われた特別報告では、相模湖ダムの歴史を記録する会代表の橋本登志子さん、町田市に在住する在日2世の朴在運さん、朝鮮学校「入学おめでとう応援隊」の斎藤京子さん、朝鮮学校を支える町田市民の会代表の瀬戸栄治さんらが発言した。

橋本さんは「記録する会」が、地元の小、中学校でダム建設作業に従事させられた多くの朝鮮人について語り継いできたと述べ、今日まで35年間、日本の生徒、学父母らの参加のもと慰霊堂で追悼式を行ってきたことなどについて言及。「歴史をみなさんに知ってもらうことが、私たちの目的。教科書中に書かれていない歴史をいろんなところで広め、各地域の歴史の真実を掘り起こしてほしい」と話した。

島根県で生まれ、小学6年までは日本の学校に通ったという朴さんが初級部6年で朝鮮学校に転入した翌年、朝鮮人学校閉鎖令で日本警察が十条のウリハッキョに押しかけてきたという。1910年、日本による「韓国併合」は朝鮮人が望んだことなどと歴史を改ざんしねつ造しようとする日本の政府らに怒りの声を上げながら、「朝鮮人が朝鮮人として育つことができるのはウリハッキョしかない。それなのになぜウリハッキョの子どもたちが差別され、チョゴリを着て通学できないのか。なぜ勉強や部活の時間を割いてまで街頭でビラを配らなくてはいけないのか。当たり前のことが当たり前でない世の中になってしまっている」としながら、「歴史を曲げてはいけない。そして歴史の教訓から学ばなければならない」と訴えた。

全大会の様子

拉致問題を理由として右翼団体による朝鮮学校への脅迫、いやがらせが強化されたことがきっかけに結成された「応援隊」の斎藤さんは、日本は右傾化どころか排外主義がはびこってしまっていると指摘。「在日同胞たちに害を与え、日朝の架け橋になろうとする子どもたちを不幸にしてはいけない。これからも子どもたちを守っていきたい」と話した。

瀬戸さんははじめて朝鮮学校を訪れたとき、屈託のない笑顔であいさつする朝鮮学校の子どもたち、健気に活動する先生たちの姿、地域の在日同胞たちの学校を思う熱い思いに心打たれたという。「国と国は厳しい状況にあるが、いつかお互いの民族性を尊重し合い、子どもたちが仲よく遊び、共に未来を作っていく姿を夢見たい。それを実現することができるのがここに集まった先生方である」と話した。

最後に、金塚さんが「日朝教育交流を推進するアピール」を読み上げた。

(文・尹梨奈、写真・盧琴順)

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