〈渡来文化・その美と造形 51〉連載を終えて、日本に残る渡来文化の重層
2011年05月16日 00:00
寺院、仏像、絵画、建築。広く深い影響 「渡来文化-その美と造形-」は、2010年1月20日付の第1回「石塔寺三層石塔」から始まり、2011年4月27日付の第50回「阿修羅像」で終わった。 古代日本で渡…
〈渡来文化・その美と造形 48〉佐波理
2011年04月11日 00:00
「佐波理」とはあまり聞きなれない言葉である。古代日本に出てくる。基本的には銅と錫の合金で、黄金色に輝いていてなかなか美事である。 正倉院「宝物」と言われる物の中にある。
〈渡来文化・その美と造形 47〉天蓋荘厳雲花形裁文(正倉院)
2011年04月04日 00:00
高笠麻呂という金工(金属工芸技術者)がいた。奈良の平城京の左京六条二坊に居住し、752(天平勝宝4)年4月、東大寺の大仏開眼会に使用された、表題の「裁文」を製作した。 「裁文」は大型の金銅透彫板で、最…
〈渡来文化・その美と造形 46〉正倉院
2011年03月28日 00:00
東大寺大仏殿の西北に白い土塀をめぐらした一郭が正倉院である。 「正倉」とは本来租税としての稲もみを収納した倉庫のことであり、「院」は周囲にかこいをした一区域を指すから、「塀にとりかこまれた租税収納倉の…
〈渡来文化・その美と造形 45〉金石文(4):船首王後の墓誌
2011年03月15日 00:00
船首王後の墓誌は、大阪府柏原市国分松岳山の古墳から江戸時代に発見されたらしいが、出土地点ははっきりしない。 金銅製で、長さ29.4センチ、幅6.7センチ、長さ1.5ミリである。 銘文は、表に4行86字…
〈渡来文化・その美と造形 44〉金石文(3):道薬師の墓誌
2011年03月07日 00:00
人間は必ず死ぬ。死ねば、ほとんどは墓に埋葬する。日本の古代、奈良時代(8世紀)には基本的に火葬する。そういった墓から墓誌が発見されたりする。「佐井寺僧 道薬師」の墓誌もそうであった。 墓誌は1958年…
〈渡来文化・その美と造形 43〉金石文(2):文祢麻呂の墓誌
2011年02月28日 00:00
この墓誌は1831(天保2)年9月、奈良県宇陀郡榛原町八滝の文祢麻呂の墓から発見された。 この時の記録によれば、「金銅製の骨蔵器の中にやはり金銅製の壷をおさめ、別にまた銅箱の中に銅製の墓誌をおさめ、そ…
〈渡来文化・その美と造形 42〉金石文(1):多胡碑
2011年02月21日 00:00
多胡碑は群馬県多野郡吉井町にある。711(和銅4)年になった。近くに建っている山ノ上碑(681=天武天皇10年)と金井沢碑(726=神亀3年)とを含めて上野三碑と称せられ、古代史研究上、大変大きな意味…
〈渡来文化・その美と造形 41〉書(3):重要文化財の書
2011年02月07日 00:00
日本の古代、今の大阪市生野区を中心にして百済郡があった。諸資料によって715(霊亀元)年以前から833(天長10)年まで、その存在が確認できる。 「百済郡」であるから、もちろん百済からの渡来人が集住し…
〈渡来文化・その美と造形 40〉書(2):国宝の書
2011年01月31日 00:00
百済豊虫という渡来人が8世紀中葉の日本にいた。姓が「百済」であるのは、出自の国が百済であったからである。 「百済王」とか「百済朝臣」、「百済公」などの著名、有力な貴族の姓ではなく、ただ「百済」とのみ名…
〈渡来文化・その美と造形 39〉書(1):渡来人経師
2011年01月24日 00:00
奈良時代(ほぼ8世紀)の日本仏教は、すべての災いから国土を守るという鎮護国家の役割が非常に大きく、東大寺を筆頭に、全国に国分寺、国分尼寺が創建され、鎮護国家の祈願が盛んに行われた。 それに伴ない仏教経…
〈渡来文化・その美と造形 38〉かまど形土器
2010年12月20日 00:00
竈形土器とは炊飯具の土器で、ドーム型の前面をくり抜いて焚き口を、天井部分をくり抜いて鍋や釜を載せる掛け口とする。5世紀ごろの竪穴住居に竈が作りつけられ始める。これは実生活上のものである。 初期(5世紀…
〈渡来文化・その美と造形 37〉深大寺・白鳳仏
2010年12月13日 00:00
日本の「白鳳時代」は、7世紀末、高句麗・百済の滅亡によって、朝鮮から技術者を含む多様な人々が大量に渡日することによって、日本文化の様相が大きく変容を遂げる時期であった。大化改新(645年)以後、奈良遷…
〈渡来文化・その美と造形 36〉墨・筆
2010年12月06日 00:00
墨は紙、筆、硯とともに「文房四宝」と呼ばれ、文房具において重要な位置を占める。 日本における「墨・紙」についての記録は、『日本書紀』推古十八年(610)条に「高句麗王が僧・曇徴、法定を貢上す.能く紙墨…
〈渡来文化・その美と造形 35〉硯(2):多様な形態
2010年11月29日 00:00
〝墨〟をすり、筆で文字を書いたり絵を描くのは朝鮮、日本、中国特有の文化である。その墨をする道具が「硯」である。 平板な石などに煤をすって〝墨〟を作る道具として始まったものが、須恵器、陶製、石製の「硯」…
〈渡来文化・その美と造形 34〉ローマングラス碗
2010年11月22日 00:00
古代、遠くペルシャの文物が数多くシルクロードを経由して中国、朝鮮にもたらされ、そしてそれらの多くは直接的には朝鮮から日本に移入された。その中に碗、皿、杯、瓶などのガラス容器がある。 日本のガラス容器は…
〈渡来文化・その美と造形 33〉硯(1):羊型硯
2010年11月15日 00:00
文字を記録するためには紙、筆、墨、そして墨をする道具である硯は欠かせない。その硯が日本で出土するのは6世紀末頃からである。円形、花弁形、楕円形、「風」字形と多様で、8世紀に入ると鳥や羊などを形象した硯…
〈渡来文化・その美と造形 32〉天寿国繍帳・残欠
2010年11月08日 00:00
奈良県斑鳩町・中宮寺に天寿国繍帳の残欠がある。現在は残欠であるが、本来は縦約2メートル、横約4メートルほどの帳2枚を横につないでいたものと考えられる。 622(推古30)年に聖徳太子が没した後、太子の…