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〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 23〉「顔」について、「仮面(マスク)」について/安部公房④

「アベノマスク」の話をしよう。といっても、すこぶる評判の悪い例のマスクの話ではなく、安部公房の書いた「マスク=仮面」についての物語を紹介したい。 自分の「顔」が、ある日何らかの理由で失われ、全く別のも…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 20〉朝鮮支配の「制服」をまとった者/安部公房①

元旦に放映されたNHK・Eテレのスペシャル番組「100分deナショナリズム」にて、漫画家のヤマザキマリさんが安部公房の小説「方舟さくら丸」(1984年)を紹介していて、にわかに話題となった。放送後Am…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 19〉「万延/令和元年」の暴力/祝祭/大江健三郎⑤

「万延元年のフットボール」(1967年)は、寓意と隠喩、象徴性に満ちた難解な文体と、土俗的雰囲気、そして明治維新前夜と敗戦直後から60年安保の時代まで、百年にわたる歴史を重層させた、大江文学の前後期を…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 18〉「文学的想像力」の陥穽/大江健三郎④

「おれはこの現実世界から拒まれている。おれはこの世界の正規の人間じゃない」。そして「怪物」となり、少女殺人犯となった、「叫び声」(1963)の登場人物・呉鷹男。死刑判決となる彼は、朝鮮人の父親と日本人…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 17〉閉塞の時代、「不幸な若者たち」/大江健三郎③

「いいか、お前のような奴は、子供の時分に締めころしたほうがいいんだ。出来ぞこないは小さいときにひねりつぶす。俺たちは百姓だ、悪い芽は始めにむしりとってしまう」―1958年発表の、「芽むしり仔撃ち」の一…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 16〉かつてと現在の危うさ、未熟さ/大江健三郎②

尾崎真理子氏は「大江健三郎全小説3」(講談社刊、2018)巻末の解説となる文章で、「セヴンティーン」、続編「政治少年死す」の二部作についてこう書いている。「性の衝動に最も突き動かされ易い年齢ともされる…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 15〉再録・再読される「性」と「政治」/大江健三郎①

「平成」と呼ばれた、日本の「失われた30年」、そして平和と民主主義という、戦後日本をまがりなりにも支えた価値の自壊とともに、どんどん内向きに閉塞しつつ右傾化を極めた30年間という時代の終わりの時期に、…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 14〉在日朝鮮人ハンセン病文学②/人間を、民族を取り戻した歌歌

詩人村松武司が1979年に出した「遥かなる故郷 ライと朝鮮の文学」が今年増補版となり復刊された。同書には在日朝鮮人ハンセン病回復者・歌人金夏日さんのことが書かれている。そして前回紹介した金貴粉著「在日…