
〈本の紹介〉日本政治の病理 丸山眞男の「執拗低音」と「開国」に読む/浅井基文
2021年01月28日 09:00
日本の特異性を深層から抉る 「戦後民主主義の旗手」とされる日本政治思想史学者の丸山眞男氏(1914-96年)は、日本人の歴史意識、倫理意識、政治意識に流れる「執拗低音」の存在とその働きについて指摘した…

〈本の紹介〉私は本屋が好きでした―あふれるヘイト本、つくって売るまでの舞台裏/永江朗 著
2020年10月07日 11:33
「憎悪の棚」はいかにして生まれるか 日本社会に蔓延る街頭やネット上での目に余るヘイトスピーチ。特定の個人や民族を攻撃し、差別を助長するヘイトは書店にもあふれ、平積みにされた嫌韓・嫌中などをあおる「ヘイ…

〈本の紹介〉日本のセーフティーネット格差―労働市場の変容と社会保険/酒井正 著
2020年10月06日 17:02
「皆保険」の綻びを問い詰める 「安定的な雇用に就いていなければセーフティーネットを得られないのならば、それはセーフティーネットと言えるのだろうか」――全331ページ、第7章からなる本書に一貫したテーマ…

〈本の紹介〉東京・下町に生きて-足立と在日コリアン/姜徹著
2020年09月24日 16:00
貴重な在日朝鮮人社会の記録 本書は「足立から見た在日コリアン形成史-済州島・東京足立に生きた私の半世紀」(2010年雄山閣)の一部分を加筆したものである。構成は、朝鮮人・韓国人コミュニティの始まり、解…

〈本の紹介〉朝鮮女性史 歴史の同伴者である女性たち/盧桂順著
2020年09月07日 12:05
歴史を担った事実に照射 洋の東西を問わず「正史」とされる史書に記され、広く知られている人物は、そのほとんどが男性である。朝鮮民族5千年の歴史においても例外ではなく、「『三国史記』『三国遺事』『高麗史』…

〈本の紹介〉詩人河津聖恵の反戦と反ファシズム、そして在日同胞/卞宰洙
2020年08月20日 10:45
本書の「毒虫」という題名は、フランツ・カフカの小説「変身」の冒頭にある「自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変わってしまってるのに気づいた」というフレーズと、日本戦後詩の前衛詩人黒田喜夫の代表作「毒虫…

〈本の紹介〉「朝鮮学校支援の現在と未来-支援の〈かたち〉を再考する」/山本崇記編
2020年08月06日 12:03
同胞と日本社会の共生、記された実践と実例 2009年に起きた在特会による「京都第一初級襲撃事件」は、学校と地域コミュニティの関係を破壊した。同校で教員を務めていた金志成はこう話す。「それまで学校に理解…

〈本の紹介〉ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー/ブレイディみかこ著
2020年08月05日 15:45
誰かの靴を履いてみること 「『老人はすべてを信じる。中年はすべてを疑う。青年はすべてを知っている』と言ったのはオスカー・ワイルドだが、これに付け加えるなら、『子どもはすべてにぶち当たる』になるだろうか…