
祖父の思い/姜希純
2025年02月17日 09:00
司法試験を乗り越えるにあたって、私にはもう一つの原動力があった。それは、一世である祖父の存在だ。 祖父といえば「勉強」だ。読書が大好きで、新聞は隅から隅まで目を通し、入学式の度に私が持ち帰った教科書で…

トルリムチャ/趙晃來
2025年02月11日 08:05
1月29日、SNSやメールでお祝いのメッセージが届いた。朝鮮はこの日、「ソルナル」と呼ばれる旧暦のお正月であるからだ。民族伝統の祝日を迎え、ふと故郷での温かい記憶が蘇った。 私が初めて故郷を訪れたのは…

異邦人の「ウリハッキョ」/夫星琴
2025年02月02日 09:00
北アイルランド紛争による暴力や分極化に苦しむ個人やコミュニティを支援する施設でボランティアとして活動する中、学生、教育、地域、移民など、さまざまな背景を持つ団体の人々と接する機会を得た。特に、統合教育…

「ながた」の灯のように/朴信陽
2025年01月27日 09:00
1995年1月17日。阪神淡路大震災が起きたこの日は、多くの人にとって忘れられない、忘れてはいけない、そんな日である。 千葉初中で教壇に立って、早2年が経とうとしている。冒頭の日になれば、私は特に自分…

原動力/姜希純
2025年01月20日 09:05
司法試験合格までの道のりはとても長かった。できない自分に腹が立ち、悔しくて涙を流したこともあった。 そんなときに私の背中を押してくれたのは、ウリハッキョであった。 道を見失いかけたときに

過去に思いをはせる/趙晃來
2024年12月22日 08:00
12月初旬、演劇やミュージカルが好きな妻の希望で、東京中高で行われたマダン劇を観に行ってきた。瀬戸内海に浮かぶ長島という小さな島にあるハンセン病患者の隔離施設「長島愛生園」に暮らすおっちゃん・秋やんと…

リバプールでの悲劇/夫星琴
2024年12月14日 08:00
休暇を利用して英国内を旅行したが、特に印象深かった都市はリバプールだ。ビートルズやサッカーで有名な港町。赤レンガ造りの建物がヨーロッパらしい趣を漂わせるこの町で、私は市民と警察が激しく衝突する場面に遭…

「ウリ」について/朴信陽
2024年12月09日 09:00
2013年の春、期待に胸を膨らませながら神戸初中の校門をくぐった。 ピカピカの中級部1年。日本学校からの編入生で、右も左も分からない私に、トンムたちが親切に接してくれた。 例えば教科書を読むとき。ウリ…

踏ん張りどき/姜希純
2024年12月02日 13:54
朝鮮大学校を卒業した私は、司法試験の受験資格を得るため、慶應義塾大学の法科大学院、いわゆるロースクールに入学した。見るからに頭の良さそうな同期、難しい授業、留年の危機と隣り合わせの期末試験。何度も挫折…

釣りを通じた出会い/趙晃來
2024年11月22日 09:30
コツン、コツン。竿先から感触が伝わってくる。 (まだまだ、今じゃない) グ、グ、ググググ。竿先がグーンと引きこまれる。 (よし、今だ!) タイミングを合わせて振り上げた竿からは、海中で暴れるタチウオの…