ウリマルでウリマウムを学ぶ／金サラン

「ウリマルの基本母音は『・ ㅡ ㅣ』、『天 地 人』を現します」。ソンセンニムとの初回授業。朗々と語る姿に壮大なウリマルの地平が開けていくような感銘をうけた。

その数カ月前、民族を取り戻したい一心で大手の韓国語教室に通い始めたものの「저는 재일조선사람입니다（私は在日朝鮮人です）」と自己紹介すると、講師から「朝鮮という言葉は政治的でよく思われないから使わない方がいい」とたしなめられ、違和感と失望に力が抜けた。

そんな中、出会った許玉汝ソンセンニム。初回から力強く一貫した民族愛に心打たれた。

職場での名乗りを金に変えた私は、大小様々な偏見や差別に遭い、身も心もすり減っていた。そんなある日、「今日は感情（マウム）を現すウリマルを学びましょう」と。최고야(最高！)。아 행복해(あ～幸せ) 。더 괴롭히지 마(もうこれ以上苦しめないで)。너무해(ひどいやんか)。ソンセンニムに続いて何度も大声で感情を込めて言ううち涙が溢れた。「自分の大切なものを大切にして強く生きればいいんです」「誰に何を言われても自分の道を歩みなさい」。ソンセンニムの言葉が、乾いた心と疲れはてた身体に染み渡るとともに自分が話す朝鮮語が心に響き、初めて「ウリマル」になった気がした。

言葉を取り戻すことは容易ではないが、ソンセンニムからウリマルを学ぶ時間は、まだ見ぬ祖国を思い、朝鮮人として生きることに自信と喜びを得られるかけがえのない時間、ウリマウムを学ぶ時間である。

（兵庫県尼崎市在住）