公式アカウント

【対談】目取真俊(小説家)×李英哲(朝鮮大学校外国語学部教授)

2023年12月09日 08:00 文化 歴史

在日朝鮮人と沖縄―記憶、抵抗、言葉

『魂魄の道』をめぐって

沖縄戦の記憶や沖縄の自然、風土、歴史に根差した小説で被抑圧者の被害/加害の両側面を鋭利に描き出してきた目取真俊さんと、同氏の作品を在日朝鮮人の歴史と重ねながら民族教育の現場で学生たちと共に読み続けてきた李英哲さんの対話が沖縄・那覇で行われた。対談では、目取真さんが今年、10年ぶりに上梓した短編集『魂魄の道』(影書房)に収録された諸作品をめぐり、沖縄、在日朝鮮人の歴史、現在について語ってもらった。(聞き手・金淑美)

11月末、那覇市内で

被害と加害のコントラスト

李英哲(以下、李):こうしてお会いするのは初めてです。今回の短編集には沖縄戦、米軍基地問題などの被害と同時に加害の痛みを抱える人物たちが出てきます。表題作品の「魂魄の道」では沖縄戦で母と赤ん坊を殺した加害体験が、「露」では中国での加害体験が描かれます。目取真さんの作品には、痛み、苦しみを抱えながら生きている存在が多数登場します。一方で、弱者を差別し、いたぶることを正当化し、嗜虐的な楽しみにすらしてしまうような加害者側の無自覚あるいは自覚に眩暈がするようなコントラストを受けました。

目取真俊さん

目取真俊(以下、目取真):戦争は被害の側面もあれば、加害の側面もあります。戦争体験者から実際に聞いたことが自然と言葉になったのと、もう一つは、詩人の石原吉郎が人間というのは加害者であることにおいて人間であると言ったように、加害性の自覚という問題があります。

Facebook にシェア
LINEで送る