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境界線をまたぎながら/金潤実

2023年11月13日 08:30 それぞれの四季

できるだけ「個」でありたい。人と一緒に働かないとか、どこにも属さないとかいった「形」のことではなく、気持ちやスタンスの部分で。「私」は「私」として属するコミュニティから自由であれることを、できるだけ自分に課す。

実際仕事の面でも大学卒業後から今まで、ウリハッキョでの美術の時間講師(非常勤講師)も含め、3〜4つ程あちこちで働く兼業スタイルだ。(非正規で働くというのは、立場が不安定で、都合よく利用されがちではある。)

プライベートも似たようなもんで、いろいろな場所やコミュニティを行き来して、知らないことに出会いながら、自分の価値観が凝り固まってないか再確認する。

ただ、側(はた)からそんな立ち位置は見えづらい。

例えば学外で「朝鮮学校で先生をしている」と言うと、私が朝鮮学校の代表者かのような質問や話を振られることは少なくない。

しかし、いち講師だとしても、私はウリハッキョや在日の代表者ではない。そこにいる学生の代弁も、他の教員や保護者の代弁もできない。そもそも一枚岩ではない、決してないのだ。

そんな風に見えてしまいがちな朝鮮学校コミュニティに体半分くらいは属しているからこそ、内と外を行ったり来たり境界線を跨ぎながら、自分なりに風通しをよくする試みをしているつもりだ。

どこに行ってもちょっとアウェイ。そんな生き方が割と嫌いじゃない。

(大阪市在住、朝鮮学校美術講師)

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