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〈関東大震災朝鮮人虐殺100年〉日弁連が会長談話、その他声明相次ぐ

2023年09月05日 11:11 歴史

社会の差別実態を浮き彫りに

関東大震災から100年に際し、談話や声明が相次いで発表されている。

大震災当時の虐殺を目撃した・文戊仙さんからの人権救済申し立てを受け、2003年、日本政府に対し、国家責任を認め、犠牲者・遺族への謝罪および真相究明を求め勧告した日本弁護士連合会は、1日付で会長談話を発表した。

談話では、関東大震災が「災害対策や被災者支援・復興支援の問題のみならず、災害下における人種差別・差別的言動などの問題をも浮き彫りにした」と指摘したうえで、03年の対政府勧告に言及。当時の日本人による朝鮮人・中国人虐殺の背景に「民族的差別意識があった」と強調した。

談話では、日本が95年に加入した人種差別撤廃条約が、締約国に対し、人種差別の根絶を目的とする「迅速かつ積極的な措置」を採ることを義務づけているにもかかわらず、日本政府が、条約を遵守するための国内法を制定せず、国連人種差別撤廃委員会から繰り返し勧告を受けていると指摘。国に対し、改めて、人種的差別撤廃に向けた基本法の制定を求めるとした。

また談話は、当時の虐殺は「差別的言動がヘイトクライムやジェノサイドといった物理的暴力を誘引したものであった」としながら、昨今、危険性が高まるネット上のフェイクニュースやヘイトスピーチに触れた。そのうえで、今年4月14日に公表した内閣総理大臣、法務大臣、衆議院議長、参議院議長、全国知事会、全国市長会及び全国町村会宛の意見書(「人種等を理由とする差別的言動を禁止する法律の制定を求める意見書」)の趣旨のとおり、日本国内で社会問題化している差別根絶に向けて、国に対し引き続き「人種等を理由とする差別的言動を禁止する法律の制定」を求めていくとした。

先立って8月31日には、東京弁護士会、自由法曹団、日本新聞労働組合連合から、また1日にはカトリック社会司教委員会から同種声明が発表された。カトリック社会司教委の声明は、朝鮮人に対する差別感情の前提として、「日本の朝鮮半島植民地化、それに対する朝鮮民衆の抵抗、『不逞鮮人』弾圧という歴史的文脈」があり、関東大震災もまたこの文脈から引き起こされたとして、政府に対し国家責任を果たすよう求めた。

一方、8月29日には、日本の作家など有志らが共同で、排外主義団体の集会について公園の利用許可を与える東京都に対し、「『慰霊の公園』での死者への嘲笑と冒涜を許さないでください」などとして、同集会への「利用制限」適用を求める声明を発表していた。

(賢)

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