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〈デジタル版朝鮮語辞典〉編纂委員らの声、各地からの反響

2023年08月04日 08:00 暮らし・活動

例えば「終える」を検索すると、それを意味する多様な語彙を知ることができる

辞典編纂の責任者である柳秀玉さん(学友書房職員)は「日本語が母語の在日同胞学生たちは、朝鮮語を、外国語を習うように習得せざるを得ない。けれど朝鮮語は私たちにとって外国語ではないウリマル(私たちのことば)であり国語だ」と強調する。同氏は、今回新たに編纂された「朝鮮語辞典」をもって、「(朝鮮語を)ウリマルとして学ぶ手段」を獲得したことの意義が大きいと語りながら「たくさんの人々の『ウリ』を愛する気持ちが原動力となり完成された辞典」だと語った。

同じく編纂委員として携わった韓成求さん(朝鮮大学校朝鮮問題研究センター・朝鮮語研究室室長)は「多くの人々の愛と良心、汗と涙で世に出てきた私たちのための、私たちだけの辞典だ。ぜひ活用し、一つでも多くのことばを正確に学び使えるようになることを心から願ってやまない」と話した。

デジタル版「朝鮮語辞典」は、5月1日にリリースされ、既に各地の朝鮮学校の授業で、教材として使われている。

埼玉初中の厳潤姫さんと梁素琳さん(共に初6)は歴史の授業で、教科書に出てくる分からない単語を「朝鮮語辞典」で調べるという。かれらは「iPadで分からない単語をすぐに探せるのがすごく便利。辞典をもっと活用して、下級生たちに新しい朝鮮語を教えてあげたい。きれいな朝鮮語を使えるようになりたい」と話した。

現在、少年団の国語部長を務める金世潤さん(埼玉初中・中3)は、「朝鮮語辞典」のおかげで学校生活がよりいっそう朝鮮語で豊かになったという。金さんは「例文、成句、類語など、一つひとつの語彙に対する分かりやすく具体的な説明が収録されていて、本当に勉強になる。探したい朝鮮語をすぐに探せるし、便利な機能もたくさんあって使いやすい」と、辞典の魅力について目を輝かせながら語った。

また康悠仙教員(埼玉初中・中級部国語担当)は、「『朝鮮語辞典』は朝鮮学校の学生に寄り添った解説や、語彙、文法、対義語、擬声擬態語などについても豊富に収録しているため、これまでより朝鮮語学習の幅が大きく広がった」という。「異国で朝鮮語を学び、朝鮮人として育つ子どもたちにとって、分からない朝鮮語を自力で調査して学ぶ環境が整えられたことは、民族教育において重要な意義を持つ。学生たちだけでなく、教員間でも辞書を引く習慣を付けることで、朝鮮語の水準を学校全体で上げていければ。『朝鮮語辞典』は、そのための有力な手段になる」と語った。

広島初中高で国語科目の文科長を務める朴善愛教員によると、広島初中高では主に高級部の国語の授業で「朝鮮語辞典」を活用しているという。朴教員は「在日朝鮮人のための辞典が発行されたことは、朝鮮学校の教育現場にとって大きな助けになる。より有用な辞典の使用方法を研究していきたい」と話した。

(韓賢珠、金紗栄、朴忠信)

朝鮮語学習の新たな礎/取材後記

取材を通して、辞典を作ることの大変さを知った。デジタル版「朝鮮語辞典」には、4万以上の語彙が収録されているが、語彙一つひとつの説明、解説を編集することが途方も無い作業であったことが分かった。そのような編纂作業を10年以上もの間、本業の傍らで進めて来た関係者たちの熱意と貢献に、ただただ尊敬の念を抱くばかりだ。

その過程でかれらの原動力となったのは、紛れもなく同胞社会を愛する気持ちであった。

現在、記事執筆の際に「朝鮮語辞典」を使用しているが、実際に使ってみると、いかに在日同胞に合わせて作られたのかがわかる。高校まで日本学校に通い、朝鮮語を学び始めて5年目の筆者だが、辞典の語彙の解説には日本語での説明も記載されていて、理解がしやすい。また、一つの語彙から枝分かれ式に朝鮮語について学ぶことができ、朝鮮語学習において無くてはならない礎となっている。多方面の人々の愛と情熱がそそがれた、同胞社会の未来の発展のための辞典であるということを心に刻みながら、多くの人々に使用してもらいたいと切に思う。

(忠)

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