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〈尼崎初中チャリティ公演〉実行委員会に携わって

2023年01月21日 12:01 民族教育

公演実行委員会のメンバーたち

650人の同胞、日本市民が集まり、大盛況のうちに幕を閉じた尼崎初中チャリティ公演「꿈길(夢の道)」(15日)。公演を成功に導いた実行委員会のメンバーらに思いを聞いた。(文・韓賢珠、写真・盧琴順)

キラキラした風景

実行委員長である白さんの提案に二つ返事で賛同した趙玉実さん(66、前・女性同盟兵庫・尼崎西支部委員長、非専任)は、実行委員会の副委員長を務めた。生まれ育ちは、三多摩地域。当時の三多摩第2初中に通った。結婚を機に、兵庫に移り住み40数年。今では「バリバリの関西人」だ。趙さんによると、今回、実行委員を務めたメンバーは、かつて、尼崎初中の保護者でありながら当時のオモニ会活動で中心となった人たち。さらにいえば、「非専任でありながら女性同盟支部を常任メンバーとして支えた頼もしく逞しいオモニたちだ」。一方、大変ないまの時代だからこそ脳裏に浮かぶ「キラキラした頃の風景」は、趙さんをいつも奮い立たせている。

「ハッキョのチャイムがなったら、学校周辺に住む子どもたちが遅刻するまいと皆一斉に走っていく姿や、活気あるトンネの姿…。生徒数が減少し、大変なことも少なくないけど、今できることがある。朝鮮人として生まれた限り、このすばらしさを繋いでいきたい。それができるのはウリハッキョしかない」。

集まったお金の重み

オープニング「慶祝オンヘヤ」(神戸朝高舞踊部と高3男子生徒)

実行委員会では一番年下で、財政部のメンバーとして駆け回った白正美さん(63)。京都出身。女性同盟兵庫・尼崎西支部の副委員長(非専任)だった白さんが、支部常任のバトンを次代に継いだのが昨年7月のこと。「ちょうどその時に、白順徳顧問から『力を添えてほしい』と声がかかった」。この間を振り返り「賛同金をもらった一人ひとりの顔が目に浮かぶ」と目を潤ませる。

「こんなイベントをやるんです、学校のために協力を頼みますと、同胞宅を一軒一軒訪ねていった。大きな金額を寄付してくれた方だけでなく、学校のためにと、1万円を寄付してくれた方が本当にたくさんいた」。そうして集まった350万円のお金を、同胞信用組合の窓口で出したとき、担当者の子がこう言ったという。「オモニ、これ皆から預かってきたお金ですか?」。「この言葉が物語っているんです。千円札もあれば、五千円札もある。いろんな人の思いが詰まったお金が合わさって学校に振り込まれたと聞いたときホッとした」。白さんはそう涙を流した。

持前のテキパキさは「尼崎に来て鍛えられたんです」とほほ笑む白さん。「オモニ会活動をしていた時、支部や分会のことはいいから、まずは学校を支えなさいと、顧問たちが言ってくれた。そんな顧問たちをみると微力ながら自分も頑張らなくてはと思う」。

自分の家は自分で守る

宣伝部を担った姜慶愛さん(66、南武庫之荘分会長)は、「学校を愛する気持ちを皆に届けよう」との思いで、同胞たちや日本の友人たちに協力を訴えてきた。一方で、現在同校へ子どもたちを送る保護者たちに対しては「経済的にも大変なのにウリハッキョに送るってどういうことなのか。子どもたちに民族教育を受けさせたい、この一心だと思う」と感服する。

伊丹初級、尼崎初中、神戸朝高を通い、尼崎初級部の教員をつとめた経験をもつ姜さんは、「自分の母校でもあり、ここで教鞭をとりながら成長し、保護者となり子どもを送った。学校を守るのは私にとっても一番の課題」だと、力強く話してくれた。「これを機に、尼崎西、尼崎東、西宮の尼崎ハッキョをとりまく同胞たちの絆が、一層強くなれば。一世から繋いできたウリハッキョの歴史を切らすことはできない」。

尼崎初中の若手教員たちによるバンド演奏「希望の羽」

同じく尼崎初中卒業生の沈春伊さん(69)は、「ウリハッキョに通った4人の子どもたちが、民族の心を忘れずにいれるのはハッキョのおかげだ」と話す。有馬で生まれ、宝塚で育った沈さんの兄と姉はかつて日本学校に通っていたが、二人の宝塚初級への編入を機に、沈さんは1年の頃から民族教育を受けて育った。

在校生として、教員として、保護者として―。こうした直接的な関わりではないが「ルーツを学んだ原点であり、いつまでも私たちのハッキョだから」と沈さんは言う。そして「公演に込めた気持ちを、次世代たちが感じ、継いでくれたら本望だ」とほほ笑んだ。

西宮地域で15年にわたり非専任支部委員長を務めてきた夫貞愛さん(75、女性同盟西宮支部顧問)は、朝鮮大学校師範科を卒業し、大阪地域の朝鮮学校で教員を務めた後、現在の西宮に拠点を移した。「私が生まれた年に女性同盟が結成された。組織とともに歩んできた一人として、こういうイベントに携われて本当にうれしい」。

4.24教育闘争の時代、大阪福島初級で教員を務めた父親の、民族教育に対する揺るぎない思い。それを継ぐ夫さんの次世代への思いは「誰よりも熱い」。

「自分の家は自分で守る、全国どこの学校もウリハッキョやから」(夫さん)

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