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各地で「ハギハッキョ」開催/コロナ禍でも試行錯誤し運営

2022年08月22日 14:02 民族教育

受講生、講師ともに貴重な場

7月末から8月にかけて、各地では、日本学校に通う同胞児童や同年代の朝鮮学校在校生らを主な対象とした「ハギハッキョ」(日本語では夏期学校を意味する)の取り組みが活発だ。

思い切り楽しんだプール遊びの時間(奈良)

総聯本部や支部、朝青などの協力のもと、毎年、高級部生や朝鮮大学校の学生たちが、社会実践活動の一環として参加してきた「ハギハッキョ」。20年以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響から運営の中断や規模縮小などを余儀なくされてきたが、今年は、多くの地域で開催される運びとなった。受講生となる同胞児童らには、朝鮮の言葉や文化に触れる場を、講師となる同胞青年らには、地域コミュニティの現状を肌で感じることのできる場を提供する、貴重な実践活動という点を踏まえてのことだ。

受講生たちは、「ハギハッキョ」の期間中、朝鮮語や朝鮮の歌を学ぶほか、科学実験などのレクリエーション体験、水遊び、夏休みの宿題サポートを受けるなど、講師らが準備した日程を思い切り楽しんでいた。

愛媛では7月28日から今月5日にかけて「えひめハギハッキョ」が四国初中で行われた。講師を担当した高景邦さん(朝大・政治経済学部2年)は同校卒業生。夏期学校で子どもたちと楽しい時間を過ごした一方、母校が置かれた現状も目の当たりにした。「在学時よりも生徒数が減っているのを実際に見て、いろんな思いを抱いた」という。

「四国初中に通っていた当時、新しい校舎でもなく、決して環境や条件が整っているわけでもなかった。でも、ハッキョに行くのが毎日楽しみだった」と高さん。「講師として携わりながら感じたのは、先生や同胞たち、皆が自分らを育ててくれたということだ。朝大生になった今も卒業生としての誇りと母校への愛着を抱けるのは、そのおかげかもしれない」。

高さん(左)と受講生の李怜晄さん(愛媛)

夏期学校を通して高さんは「四国の同胞社会と母校は自分の原点。ここを絶対に守りたいという気持ちが一層増した」と力を込めた。

一方、奈良では、奈良幼稚班を拠点にして、7月25日から今月30日までの期間、幼稚班と小学班のクラス別に「ハギハッキョ」が運営されている。

昨年4月に幼稚班教員として同校へ赴任した姜悠理さん(24、朝大・外国語学部卒業)は、民族教育の現場における生徒数減少という課題を前に「準正規教育網である土曜児童教室や、この夏期学校などが重要な役割を担う」ことを肌で感じたと話す。

母校・和歌山初中での教育実習をきっかけに、大学入学当初から抱いていた幼稚班教員になることを決意したと話す姜さん。保育に関する専門的な知識を大学在籍中に積むことができなかった分「奈良ハッキョという現場でたくさんのこと学んでいる」。

14年に幼稚班を再建した奈良コミュニティにとって、「ウリ幼稚班が地域の重要なよりどころになっていると感じたし、和歌山同胞社会におけるハッキョの貴重さと重なり、さらに守りたいと思った」という。姜さんは、夏期学校などの準正規教育網から正規教育につながる基盤を築きたいと話しながら「奈良ユチバンがこの地域の同胞児童らにとって、朝鮮人として肯定的な感情を抱ける場所にしていきたい」とほほ笑んだ。

静岡では2日から5日にかけて「ハギハッキョ」が開催された。受講生の一人、静岡市立岡小学校4年の酒井優さんは「はじめは緊張したけど、友だちと一緒に朝鮮語を学んだり朝鮮の遊びをできて楽しかった。またウリハッキョでみんなにあいたい。来年も、必ず参加したいと思う」と話した。

(取材班)

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