〈それぞれの四季〉「円」か「縁」か/尹美奈


相続の専門家として常に考えていることがある。

「良い相続」ってなんだろう。相続とは、亡くなった方の財産を家族等の近親者が受け継ぐことである。法律でいう財産というのは、預金や不動産等の財産的価値のあるものをいい、大半の人は、相続=「財産を誰がどれくらい取得するか」という問題として捉える。もちろんそれが正解だと思う。

しかし、残念ながら多くの相続は「争続」問題に発展する。それはなぜか。

一概には言えないが、相続を表面的なお金の分け方の問題としか捉えていない場合「争続」問題に発展しやすいと感じている。

「長男に全部継がせたらいい」とか「皆に均等に分ければ問題ないだろう」等、安易に物事を決めてしまった結果「大したこともしてないのに長男ってだけでずるい」とか「今まで私がほとんど親の介護をしてきたのに、均等なんて冗談じゃない」等の不満が出てくる結果になりかねない。

ではどのように考えたらいいのか。残された家族たちにどうなって欲しいか。これから先どのような関係性でいてほしいのか。という視点を忘れないでほしい。表面的な財産分割の問題を考える前に、今まで築いてきた家族の絆、人と人との縁をいかに守り発展させるのかという問題と向き合ってほしい。「縁」は「円」に勝るかけがえのない財産だから。

(兵庫県尼崎市在住、司法書士)