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短編小説「魚のために道をひらこう」1/陳載煥

2022年02月02日 11:49 短編小説

1章

容赦なく照り付ける八月の太陽の下で深い緑につつまれた山なみも、森も林も、暑さにあえいでいた。

青い流れに沿って、細長くのびている河原を、男が二人さかのぼっていく。

すたすたと先を行く男は、古ぼけた麦わら帽をかぶって、ふくらんだリュックサックを背負っている。リュックサックの下に、なべとビクをつるして、それが歩くたびにぶらぶら揺れていた。ヤスとモリが、リュックサックに旗竿のように突き出ていた。

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