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短編小説「幸福」10/石潤基

2021年08月23日 09:09 文化・歴史

はたして、この初対面の時のおかしなしこりが、二人の間に、仕事の上にまで微妙な双曲線を描くようになってしまったんだ。

僕は外科の責任者だし、彼女は外科の準医だったが、なぜか無意識のうちに彼女を避けるようになっていたのだ。あの時の醜態が頭に残っていて、いっそう僕の態度をぎこちなくさせるのだ。後から聞いたところによると、彼女は当年24歳の娘さんで、やはり彼女の僕に対する第一印象はあまりよくなかったらしい。僕を恐れているようであったし、できるだけ避けているふうでもあった。さっきも言ったが、彼女は快活で朗らかな方で、どこでも彼女の行くところには、歌と笑いの花が咲いた。彼女が病室に入れば重病人もうめきを止めるほどであった。だけど、そんなところに僕が姿を見せると、その楽しそうな雰囲気はたちまち一変してしまうのであった。こんなことも僕にとっては、やはり大きな苦痛であった。

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