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短編小説「幸福」8/石潤基

2021年08月11日 14:11 文化・歴史

「逃げたのは、何ですか?」

僕の靴音に、びっくりして立ち上がった彼女は、顔をこわばらせて僕の方をちらと見た。まだあたりはうす暗かったが、白い顔とはちきれそうに元気な若さが溢れた女性であった。どこかで聞いたことがあるような明るい笑い声……それは前にいつか触れたことがあるかのような雰囲気だった。彼女は僕の尋ねることに、何か大きな事故でもおこしたような、緊張した声で答えた。

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