短編小説「幸福」2/石潤基
2021年07月28日 08:00 文化・歴史「あら、どうしましょう? ご飯はすぐ炊けるけどおかずがなんにもないわ……」
「何をつまらん心配をしている。あり合わせのものでいいさ」
「だって、本当に久しぶりにいらしたのに、おもてなしもできなくてはもうしわけありませんもの」
妻はひとりで気をもみながら、私の意向を聞こうともせずに、仕度のできたお膳をひっこめてしまった。
「あら、どうしましょう? ご飯はすぐ炊けるけどおかずがなんにもないわ……」
「何をつまらん心配をしている。あり合わせのものでいいさ」
「だって、本当に久しぶりにいらしたのに、おもてなしもできなくてはもうしわけありませんもの」
妻はひとりで気をもみながら、私の意向を聞こうともせずに、仕度のできたお膳をひっこめてしまった。