〈源流をたどる―食・工・建 2〉大分・焼肉とらじ
2021年04月21日 12:06 主要ニュース 暮らし・活動祖国解放後、1・2世の同胞たちは異国の地で生きる術として、焼肉をはじめとした飲食業、遊技業や土木・建築業など、さまざまな事業を開拓し、発展させてきた。古くから同胞、日本市民らに親しまれ、愛されてきたあの飲食店、町工場、会社はどのようにして生まれたのか。連載「源流をたどる―食・工・建」では、1・2世同胞たちのバイタリティと意志を継ぎ、同胞社会、朝鮮学校、自らの家庭のために、今を生きる同胞企業家、店主、社長たちの情熱と苦悩、葛藤を取り上げる。
家族で築いた32年の歴史
「値段がリーズナブルで良心的」
「アットホームでくつろげる個室が良い」
「カルビだけの採点があれば確実に☆5!」
「タレが美味しい!冷麺も美味しい! 中津で1番好きな焼肉屋さんです」
ネットにあがったお店の口コミからも、その人気がうかがえる。店に一歩足を踏み入れると、どこか懐かしい雰囲気の漂う空間が広がり、落ち着いて食事をするにはぴったり、そう思わせる店がある。
大分県の北西端、中津市で創業32年を迎えた「焼肉とらじ」だ。1989年から営みを繋ぎ地元客に愛されてきた同店で店主を務めるのは鄭信子さん(81)。
暖簾を掲げたのは、鄭さんがちょうど50歳の頃だった。きっかけは、夫の故・崔英燮さんと鄭さんが共に専従活動家をしていたことから、生計を立てなおそうと一念発起したことにあった。