最大限の学びの機会を/各地朝鮮学校で遠隔授業
2020年05月09日 15:53 主要ニュース 民族教育新型コロナウイルスの感染拡大による休校期間、各地の朝鮮学校では児童・生徒たちの学習機会を確保しようと配信中のオンライン授業など独自の対策を講じている。その一つにリアルタイムの遠隔授業がある。
三重県の四日市初中では現在、初級部を対象に(国語、日本語、算数、英語、社会)の遠隔授業を、中級部を対象に(国語、日本語、数学、英語、社会)の授業をそれぞれ行っている。授業は1回につき45分。9時50分に担任教員がホームルームを行った後、午前に2回、昼食後に1回の計3回を月曜から金曜まで毎日行う。
同校では、このような昼食時間を含めたカリキュラムを組むことによって、子どもたちにたくさんの変化があったという。初級部6年の担任で理数系科目を担当する金玲喜教員によると、学習意欲が増したのはもちろんのこと、子どもたちは自ら遠隔授業における約束事を設けて授業に臨むようになったという。「自分だけではなく、トンムたちと一緒に成長しようという児童たちの思いを感じた。同じ場所にいなくても、遠隔授業を通して規則正しい生活をすることによって、子どもたちの自立性を養うことができる」(金教員)。
金教員は「保護者や同胞たちの協力のもと、遠隔授業を円滑に進められている。子どもたちがこれまでと変わらず今年もしっかり学べたと自負できるよう、今後も日々、研究を重ねていきたい」と話した。
愛知県の東春初級では学年ごとに時間差で、担任たちが毎日30分ずつ、遠隔授業を行っている。
初級部5年担任の李英実教員は、電子教科書とパワーポイントを用いて遠隔授業を行う。4月23日の国語の授業では、童謡「タンポポ」を学んだ。オンライン授業の予習に基づき、この日の授業はクイズ形式で行われた。
「この童謡は、何に応じて変化するタンポポの様子を歌ったものでしょうか?」
画面越しから、すぐに返事が返ってくる。
「季節に応じて変化する様子を歌いました」。
答え合わせにはパワーポイントのアニメーション機能を利用した。
語彙については、李教員のもとにある電子教科書のページをミラーリングし、児童らに分かりやすく解説。画面越しの子どもたちも大きくうなずいた。朗読の練習も、電子教科書の音声機能を活用した。
李教員は「会えない間、授業だけでなく教員と子どもたちの信頼関係を築くうえでも、遠隔授業は大切な手段になっている。これをさらに効果的に活用できるよう、これからも子どもたちを理解した授業作りに努めていきたい」と話した。
各地で取り組まれている遠隔授業については、当事者となる子どもたちや保護者の反響も大きい。
兵庫県の伊丹初級では、月、水、金曜に約2時間ずつ遠隔授業が行われている。
同校に通う鄭太虹さん(初6)は「分からないことがあったらすぐに先生に質問できるから、授業もすぐに理解できる」と話す。一方、母・朴盛子さん(39)は「遠隔授業が始まる前までは心配事が多かったが、大きな問題もなくいつもと同じように授業が行われているようだ。遠隔授業を通して、自分自身、子どもたちの勉強について今まで以上に関心を持つようになった」としながらも、やはり一番は教室で授業を受けることだとし「一日でも早く、正常な生活が戻ってくることを願っている」と話した。
各地の朝鮮学校で行われるインターネットを利用したこれらの取り組みは、学校ごとにセキュリティー対策を徹底しながら、よりよい教育の確保へと教員たちが研究を重ねている。
(取材班)