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【インタビュー】「対話と軍事的圧迫、対話と制裁は両立しない」/朝鮮外務省米国研究所 キム・インチョル室長

2016年12月13日 13:13 朝鮮半島

 

【平壌発=金志永】米国大統領選挙の結果、来年1月にトランプ行政府が出帆する。去る8年間、この国の方向舵を握ったオバマ行政府が「米国本土に対する核攻撃能力を保有した朝鮮」を次期行政府に「執権遺産」として渡すことになったことについて、朝鮮外務省米国研究所キム・インチョル室長に話を聞いた。

-オバマ行政府時に朝鮮は4回の核実験を行った。中長距離戦略弾道ロケットと戦略潜水艦弾道ミサイルの試験発射もあった。「戦略的忍耐」と称されるオバマ行政府の対朝鮮政策を現時点でいかに総括するか。

朝鮮外務省米国研究所 キム・インチョル室長

朝鮮外務省米国研究所 キム・インチョル室長

オバマ行政府になった時から米国の対朝鮮敵視政策、核威嚇恐喝は階段式に拡大強化されてきた。この期間、朝米関係が最悪の状態に至り、朝鮮半島情勢が悪化し続けた根本原因がまさにここにある。

米国の歴代行政府は朝鮮に対する体質的な拒否感を持って極悪な政策を実施してきた。オバマ行政府の末期にあえて朝鮮の最高尊厳にまで難くせをつけながら朝鮮との全面対決において「レッドライン」を越えた。それで朝鮮は米国との関係において提起される全ての問題を朝鮮の戦時法にしたがって処理するという立場を明らかにし、朝米間の全ての外交的接触空間とルートを遮断する措置を講じた。

米国で大統領選挙が実施されたが今でもわれわれの立場に変わりはない。朝鮮に対する敵視政策と核威嚇・恐喝が引き続き増大しているからである。

しかし、オバマ行政府の政策が破綻に直面したという現実は隠蔽できない。朝鮮の「核・ミサイル脅威」を除去するとしながら制裁圧迫を中心とする「戦略的忍耐」策を追求してきたが、これは朝鮮の核攻撃能力を強化する正反対の結果だけをもたらした。

-「核兵器なき世界」の提唱者がそのような結果を招いた。

「核兵器なき世界」構想は、本質的に他国を欺瞞し、米国の核覇権を維持するためのものである。一触即発の戦争局面に瀕した朝鮮半島情勢はそれを証明するものである。オバマ行政府時に米国は核兵器近代化策動にいっそう拍車をかけながら朝鮮半島で核戦争を仮想した軍事演習をひっきりなしに繰り広げたし、自らの核戦略資産を大々的に投入した。オバマ行政府が出したスローガンは中身のない殻にすぎないということを朝鮮の軍隊と人民は体験を通して知っている。

-この間、緊張緩和の要求と朝米対話の機会がなかったわけではない。ところが結果的にどれひとつ進捗しなかった。

オバマ行政府が対話についても騒ぎ立ててきた。その内側ををのぞき込めば朝鮮がまず「非核化」のための措置を講じてのみ対話が開かれるという強盗さながらな要求で一貫している。朝米間の交戦関係が持続しているのに朝鮮が一方的に武装解除をしてこそ対話ができるというのは話にもならない。

オバマ行政府の敵視政策と核威嚇恐喝を正面から受けてきた朝鮮の軍隊と人民は、むしろ自らの制度と生存権、発展権を守るために核武力を強化すべきである必要性をいっそう痛感するようになった。

対話と軍事的圧迫、対話と制裁は絶対に両立できない。オバマ行政府が去る8年間を通じて実証して見せたのがまさにそれである。

-オバマ行政府は国連の名を盗用した制裁騒動に執着してきた。これに対処して朝鮮が超強硬対応策を取るやいなや、いわゆる「中国責任論」を強弁した。

朝鮮半島核問題を生じさせた主犯は米国である。にもかかわらず、オバマ行政府は朝鮮が「核・ミサイル実験」をするから情勢が緊張しなどと黒白を顛倒させたようなデタラメを言いくるめながら、朝鮮を圧迫するための国際的包囲網の形成に熱をあげた。このような朝鮮半島核問題の「国際化」企図は、核問題主犯の責任を転嫁するための卑劣な術策である。

オバマ行政府は朝鮮の戦略的地位が変わったことを理解できずに悪あがきしている。

朝鮮は水爆まで保有した核強国の地位に上りつめた。これまで朝鮮が核を持っていなかった時には米国の一方的な核の脅威だけが存在していた。朝鮮半島と地域で力のアンバランスが生じたのである。いまだに冷戦構図が残っている朝鮮半島は、軍事的衝突の危険が恒常的に存在する世界最大のホットスポットだ。しかし今はもう力の均衡が計られた。核強国である朝鮮は今、自らの力で戦争を抑止している。

オバマ行政府は朝鮮半島核問題の「国際化」を目論み、「中国責任論」を騒ぎ立てた。だが朝鮮の立場は、米国によって強いられている核戦争の危険をその強力な核戦争抑止力に基づいて根源的に終息させようというものである。

-オバマ行政府は朝鮮の力を見誤り、終いには抜け出すことのできない窮地にまで陥った。

米国の歴代行政府は全て朝鮮を見誤った。朝鮮の核戦争抑止力が非常に強化されていくことにあわてふためきながらも、オバマ行政府が自らの政策を変えなかった根底には、朝鮮に関する体質的拒否感がある。米国は、朝鮮民主主義人民共和国が創建された時から主権国家として認めなかったし、今もそうである。このような体質的拒否感が変わらなかったため、米国では行政府が変わっても、彼らが旧態依然とした対朝鮮敵視政策を踏襲するようになるのである。

米国はこれから、変化した朝鮮の戦略的地位と大勢の流れをきちんと見なければならない。そして時代錯誤的な対朝鮮敵視政策を撤回する政策的決断を下さなければならない。

-来年1月にはトランプ行政府が出帆する。

朝鮮は、米国で誰が権力の座についても介意しない。問題は、敵視政策を撤回するかいなかである。朝鮮を政治的に孤立させ、経済的に窒息させ、軍事的に圧迫しようとするそのような政策が持続される限り、朝米関係においてはいかなる問題も解決しない。

今後登場する行政府が対朝鮮敵視政策を撤回する意志を行動で示すことだけが、全ての問題解決の出発点になる。

(朝鮮新報)

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