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ジャズシンガーのケイコ・ボルジェソンさん、東京第9でコンサート

2013年01月28日 11:52 文化・歴史

〝音楽を通じて世界を平和にしたい〟

東京朝鮮第9初級学校で1月25日、ジャズシンガーのケイコ・ボルジェソンさん(65)が全児童に向けたジャズコンサート(協力=NPO法人「共に生きる国際交流と福祉の家」、通称=「もくれんの家」)を行った。音楽授業の一環で行われたこの企画は、2011年からはじまり、今年で3回目。

ケイコさんは、「Caravan」「ふる里の春」「Open gate」「すばらしき世界」を披露。コンサートでは、児童たちもプク(朝鮮の太鼓)とタンバリンを持ち、ケイコさんの歌とピアノ、同氏の夫、ホーカン・ボルジェソンさんのバイオリンの演奏に合わせて一緒に音楽を奏でた。

まずはじめにリズムの練習。「タンタタンタタン」と打つ子と「タタンタタンタン」と打つ子で分け、それをケイコさんの演奏に合わせて同時に刻む。体を動かせながら上手にメロディーをつかむ児童たち。ケイコさんが「前でやりたい子!」と言うといっせいに「はい!はい!」と手を上げた。

全員で「ふる里の春」歌った後は、ケイコさん作曲の「Open gate(心の扉を開こう)」を披露。ケイコさんが「Open gate!」と児童たちに向けて投げかけると続けて子どもたちも「Open gate!」とノリノリだった。最後は全員で輪になって手をつなぎ歌いあげた。

コンサートの後には、全員で記念撮影をした。また、CDなど、ケイコさんからのプレゼントをもらえるじゃんけん大会も行われれ、笑い声があちこちで湧き上がる和気あいあいとしたジャズコンサートとなった。

八木ヶ谷さんの遺志継いで

同コンサートが行われるきっかけとなったのは、3年前ケイコさんが同校から数分のところにある「もくれんの家」の理事長である八木ヶ谷妙子さんを訪ねるようになってまもなく、「妙子さんの97歳の誕生日祝いに歌いたい!」という話が持ち上がったことからである。理事会では、杉並区の元教師を務めた理事から、「朝鮮学校の子どもたちにジャズに触れてもらったら」という提案をもとに話し合い、東京第九初級での「第1回おばあちゃんからの誕生日プレゼントコンサート」が実現することとなった。もちろん、子どもが大好きな八木ヶ谷さんも参加した。

1993年、当時70歳だった八木ヶ谷さんは、関東大震災(1923年9月1日)時に朝鮮人虐殺の現場を目撃した証言者として名乗り出た。関東大震災の真相究明運動に関わりながら、もくれんの家で中国人、韓国人留学生の支援、朝鮮学校との交流も精力的に行ってきた。

この日会場には、1月2日に惜別した八木ヶ谷さん(享年99)を偲び、会場には同氏の遺影が飾られた。

生前、八木ヶ谷さんが話した「音楽という国境を越えることのできる武器をあなたは持っている。その力で世界の人たちを目覚めさせなさい」という言葉は、現在のケイコさんの活動のベースになっているという。ケイコさんは、「今世界のあちこちで、自分の利益のために無意味な戦いや紛争が起きている。音楽を通じて、国と国、人と人を繋げ、世界中に平和が訪れることを願っている」と話した。

(尹梨奈)

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