平壌宣言10周年、大阪で友好の集い
2012年10月12日 15:14 主要ニュース未来向け「共に歩む」契機に
平壌宣言発表から10周年を迎え、北河内・城北地域友好の集い「未来に向かって共に」が6日、大阪府守口市のエナジーホールで行われ、同胞、地域住民ら約250人が参加した。
この集いは、「城北ハッキョを支える会」(大村淳代表)と「北河内・城北地域日朝友好市民の会」(石坪登代表)、総聯大阪府本部の河北支部と旭都支部が共同で実行委員会を組織し主催した。地域の日本市民と朝鮮人が力を合わせて、「子どもたちの笑顔を奪われないように」大切な場所を守り、また平壌宣言の意義を再確認し、国交正常化の早期実現を求めて、平和な未来に向かって共に歩む契機にしようという願いが込められている。
集いの第1部ではパネルディスカッションが行われ、甲南大学経済学部の高龍秀教授、大阪市立大学文学研究科の伊地知紀子准教授、城北初級出身の李承現弁護士が発言。平壌宣言発表からの10年間を振り返ると共に、城北朝鮮初級学校が続けてきた地域に根づいた交流の意義、また、「高校無償化」から朝鮮学校が除外されている不当性について語った。
司会を務めた高教授は、祖国解放から67年が経った今も植民地支配に対する補償、賠償が行われていない責任は、一義的に日本にあると指摘。植民地政策の残滓は現在に引き継がれており、その歴史の流れの中で在日朝鮮人は生きていると強調しながら、朝・日間にある諸問題を解決するためには国交を正常化することが何よりも大切だと述べた。
高教授はまた、「高校無償化」問題と大阪府と市の補助金打ち切り問題に触れながら、在日朝鮮人の子どもたちの日本学校修学を通達し、朝鮮人学校閉鎖令が発せられた1948年当時と「同じ境遇にある」と話した。
伊地知准教授は日本人と朝鮮人の「顔の見える出会い」こそが必要だと指摘しながら、城北初級が30年間にわたって地域の日本学校と交流してきた事実について述べ、朝鮮学校は「多文化共生」という言葉が一般化する前から、それを実践してきたと強調した。
李弁護士は、この間、総聯関連施設に対する不当な強制捜索が繰り返されるなど、在日朝鮮人に対する人権弾圧がエスカレートしていると指摘。また、大阪朝鮮学園が府と市を提訴した補助金交付の義務付けを求める裁判について触れ、「ここで(地方自治体の横暴)を止めなければ、朝鮮学校の認可取り下げにもつながりかねない。そういう思いで弁護団に加わった」と決意を述べた。
第2部では城北初級舞踊部、大阪朝鮮高級学校吹奏楽部、大阪朝鮮歌舞団による公演が行われた。
実行委員を務めた「支える会」の大村代表は、日本の右傾化に拍車がかかる今、「日朝平壌宣言の意義をもう一度確認してみよう、もう一度考えてみようという思いでこの集いを企画した。この間、朝鮮に対する制裁のみが延長され、その最たる犠牲者である在日朝鮮人の人権ははなはだしく侵害され続けている。大阪においては、地道な運動によって勝ち取り、20年もの間交付されてきた朝鮮学校への補助金が『0』にされた。これらは日本人の問題。集いをきっかけに日本人と朝鮮人が力を合わせて問題解決に取り組むいい流れを作っていきたい」と話した。
(朝鮮新報)