公式アカウント

〈朝鮮民族の美 29〉上院寺銅鐘(8世紀)

2012年07月06日 11:48 歴史

この鐘は新羅33代の王、聖徳王24年(西紀725年)に造られた。この鐘は、現在わが国で最も古く、かつ造型的にも最も美しい鐘と言える。人の背丈ほどの大きな鐘で、その肩から下がって鐘口に至る側面の長い曲線は、自然にふくらみながら鐘の3分の2位の所で最大となり、鐘口に下がりながら美しく締る側面の曲線は、典雅な気品を漂わせている。

高さ1.67m、江原道平昌郡五台山

鐘の上部には竜の形の吊り金具と朝鮮独特のパイプ形の声管、鐘の上部と下部には広い帯が巻かれていて、よく見るとその帯の中に点々と多数の小型の仏像が蓮華唐草文の中に浮彫りされ、この鐘を荘厳するかのように取り巻いている。

そして9つの大きな鐘乳(音の振動を大きくするためのもの)を持つ4個所の乳廊にも、同じ浮彫りを持つ帯文が飾られている。

鐘身の中心部には、空中に浮かんで羽衣を翻しつつしょうの笛、竪琴を奏する二双の天女たち。そして蓮華文を形どる2つの撞座(撞木を突く場所)。鐘は、もちろん古代中国から伝えられたものであるが、鐘全体の隅々にまでこのように繊細で合理的、かつ芸術的に高い水準の意匠で設計された例があったであろうか。ただ朝鮮の鐘にのみ見られるもので、有識者たちは、これを「朝鮮鐘」と言う学名で呼んで、その美しい造形を音色と共に讃えているのである。

(金哲央)

Facebook にシェア
LINEで送る