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〈続・朝鮮史を駆け抜けた女性たち 9〉王を子ども扱いした/張綠水

2009年10月02日 00:00 文化・歴史

「暴君」と「稀代の悪女」と

張綠水(イメージ)

張綠水(イメージ)

奴婢から後宮に

朝鮮王朝第十代王燕山君(1476~1506、在位1494~1506)の愛妾であった張綠水は、奴婢の生まれでありながら宮女として入内、一年余りで内命婦従三品である淑容の位にまで登りつめた女性である。だが王子を産めなかったばかりか、頼りの燕山君が暴虐のかぎりを尽しその王位を追われたがため、王の追放後具体的な調査すらなく即時処刑されてしまった女性である。

張綠水は、朝鮮王朝第八代王睿宗の次男である齊安大君の奴婢であり、その家の奴婢とすでに婚姻し子どもまでいたとある(「燕山君日記」47年、8年11月)。父は忠淸道の官吏であった張漢弼であることから推測すると、綠水の母が奴婢、あるいは身分の低い出自であったことが推測される。

張綠水は飛びぬけた美人でもなく、すでに子どもまでおり、燕山君よりも年上だったという。ただ、歌舞に秀でた才があり、当時歌のうまさでも有名だった。「燕山君日記」に彼女の父のことを調べるよう命じたくだり(燕山君8年)があるが、その直後に入内させすぐに従四品の位である淑媛を与えていることから察すると、燕山君の彼女に対する思い入れは相当なものであったことがうかがえる。

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