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〈続・朝鮮史を駆け抜けた女性たち 5〉儒教的倫理観に挑む/金浩然齋

2009年05月29日 00:00 文化・歴史

「価値の中心 夫ではない」

金浩然齋詩碑

金浩然齋詩碑

「自警編」に託した自尊心

朝鮮朝後期、実家、婚家共に名門であった浩然齋(号)金氏は、自由奔放で繊細な感受性と高い文学的素養を併せ持った詩人であり、先駆的知識人であった。漢詩集「鰲頭追致」と「浩然齋遺稿」を執筆、また、当時名家の夫が妻に書いてやるのが普通だった「婦訓書」(妻としての心得書)を漢文で自らが書くほどであった。自らを警めるという意味の「自警編」がそれである。前書きには「両親を早くに亡くし学んだものがないため、嫁した後も.寝ても覚めても不安で一日たりとも平穏ではなかった、その心持を記録し」と書いた。だが、その内容は自身を卑下する前書きとは大きく違った。実は「自警編」は「婦訓書」の体裁を借りた夫婦白書であり、夫婦という名のもとに夫たちが振るう横暴に対する批判であり、仕方なくこれを耐え忍ばなければならない女性の怒りと忍従、挫折と自嘲を記録したものであったのだ。

彼女が必要以上に自分を卑下して見せたのは、「自警編」が男性にもたらす衝撃と、自分への攻撃を少しでも緩和させるための方便であったのかもしれない。

浩然齋は「自警編」で主に、女性の教育の不平等について疑問を呈し、夫の行状や妻に対する態度によって、女性の精神や行い、幸不幸が左右されてはならないと主張した。

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