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〈人物で見る朝鮮科学史 6〉古朝鮮から高句麗へ(下)

2006年03月19日 00:00 歴史
把手付椀(ソウル中央博物館蔵、出土地未詳)

把手付椀(ソウル中央博物館蔵、出土地未詳)

ギリシャ神話に、人間に火を与えゼウスに罰せられるプロメテウスの話がある。東洋の慈悲深い神様に対して、西洋の神様はどうも血なまぐさい気がしてならないのだが、それはさておき、この神話は火がいかに貴重なものであるかを物語る。実際、現代社会においてさえ火は、良きにしろ悪きにしろ重要な役割を果たしている。それを考えると古代人が火を得たというのは、人類史にとって決定的な出来事だったといえるかもしれない。

金属加工技術はいかに強い火力を得るのかがポイントとなるが、であればそのノウハウはすでに確立されていた。それは製陶技術である。土器の起源に定説はないが、おそらく焚き火の後に土が固く焼き締められることを知った古代人が、粘土を原料にして土器を作るようになったのだろう。これは前回紹介した「自然冶金説」と同様であるが、というよりもむしろこちらが先で土器を作る過程で鉱石が溶けて金属を得たというほうが事実に近いのかもしれない。

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