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〈ものがたりの中の女性たち 13〉人の生き死には一抹の夢/沈清

2018年06月08日 14:22 主要ニュース 文化・歴史

あらすじ

沈賢(シムヒョン)という儒者がいた。その夫人・鄭(チョン)氏に久しく子が授からず心配したが、ある日不思議な夢を見た後に沈清(シムチョン)を授かる。

沈清が3歳になると、鄭氏は病を得て夭逝、沈賢も眼病のため失明してしまう。全盲となった沈賢はもらい乳をしながら沈清を育て、7~8歳になってからは沈清が父を助けながら生きていく。

沈清が13歳になると、村の長者の家の手伝いをするようになる。帰りが遅くなった沈清を心配した沈賢は、無理をおして迎えに行く途中、道に開いた穴に落ちてしまう。

このとき、通りかかった名月山雲心(ウンシム)洞にある改法(ケポプ)堂の化主僧が彼を助け、米を300石お布施すると全盲の目が開き、将来父娘が栄華を極めると言う。これを聞いた沈賢は深く考えることもせず布施を約束してしまう。その日から人知れず悩み苦しむ父から事情を聞き出した沈清は天地神明に父の目が開くことを祈る。その夜、夢に現れた翁に話を聞いた沈清は夜が明けるのを待つ。

この頃、瑠璃国の者が荒れ狂う印塘疎(インダンソ)―海を鎮めるため生贄に未婚の少女を買おうとしているという噂を耳にしていた沈清は、覚悟を決め自身の身を米300石で売りその米を布施として寺に納める。

乗船日、沈清が父に事実を告げ家を出ようとすると、沈賢は慟哭し沈清を止める。この光景を見た瑠璃国の者たちは同情し数日出発を遅らせ、米50石を追加で与え出発する。

印塘疎に沈んだ沈清は東海の龍王の侍女たちによって助けられ、竜宮に連れていかれる。甦りの薬を飲んで目が覚めた沈清は、自身の前世が東海の龍王の娘であることを知る。この間の全ての苦しみは釈迦が与えた試練であり試験であったことも知る。

また、釈迦の計らいでこれから父娘が瑠璃国で栄華を極めると聞かされる。大きな花のつぼみに乗り印塘疎に浮いていた沈清は、瑠璃国の者たちによって王宮に連れていかれる。

花の中から現れた沈清はついに王妃となり、民に慈悲と善政を施すよう王を助け、父・沈賢を探すため全国の盲人を集め「盲人の宴」を開催する。連日宴を続け、ついに最終日、末席に座っていた沈公を発見する。沈賢は死んだはずの娘・沈清が王妃になったと聞くや突然目が開く。

その後、沈賢は宰相の娘と再婚し、幸せになる。


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