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ヘイトスピーチ解消法から2年、院内集会開かれる

現行法の課題浮き彫りに

報道陣をはじめ多くの関心のなか行われた院内集会

今年6月にヘイトスピーチ解消法施行から2年を迎えることと関連し、5月30日、院内集会「解消法施行から2年~ネットはヘイトにどう向き合うべきか~」が参院議員会館で開かれた。

集会では、罰則規定がなくヘイト行為に対する規制に制限があるなど、いまだ多くの課題を抱える現行法について、津田大介(ジャーナリスト)、金尚均(龍谷大教授)、川口泰司(山口県人権啓発センター事務局長)の3氏がそれぞれ報告。コーディネーターを日本映画大の韓東賢准教授が務めた。

津田大介さん

津田氏は、近年ヘイトスピーチが激化する理由について、「社会を取り巻く情報環境の変化」といった構造的な問題点を指摘。2011年「アラブの春」や15年には安保法反対を求め、ネット上のつながりを基盤に日本でも大規模デモが行われるなど、ソーシャルメディアやスマートフォン、クラウドの普及によって「ネットでつながった人々が現実世界で行動を起こすようになり、ネットが現実の社会に影響を与え始めた」と報告した。

また同氏は、「表面化された情報の一部を切り取って有害なメッセージを伝えることが可能になり、それが影響力をもつ世論として台頭」してきたヘイトスピーチの現状に警鐘を鳴らしながら、①自分の行為が正しいと信じる「義憤に燃える人」、②情報を鵜呑みにし発信する「中間層」、③情報を歪め流すことで収入を得る「ビジネスとして煽るメディア」の3者の存在が、ヘイトがなくならない基盤にあるとしたうえで包括的、多元的なアプローチの必要性を訴えた。

金尚均さん

金氏は、「ドイツにおけるヘイトスピーチ規制」について報告した。

近年ドイツでは、移民や難民に対する排外的な国内気運の高まりのなか、ヘイトスピーチにとどまらず犯罪と疑わしき表現を、24時間以内にホストプロバイダが削除するネットワーク貫徹法が成立するなど、差別行為を規制するための国家的な対策が施されてきた。

同氏は、ドイツでのネット上のヘイト規制を例にあげながら、「犯罪事件であれば凶器を没収することができるが、ネットの場合は犯罪に使われたもの(情報)を完全に没収できない。違法な情報であるにも関わらずアップロード、ダウンロードを繰り返されている」として、現在の日本の法律では差別行為の規制に限界があるとした。

そのうえで今後、①ネットを介した情報掲載については刑罰を重くすること、②ネットあるいは電子情報に特化した刑事規制を設けること、③発信者情報の開示請求について新たな法改正をすること、など3つの対策の必要性を説いた。

川口泰司さん

最後に「ネット社会と部落差別~現状と政策課題~」をテーマに報告した川口氏は、解消法が施行された16年、部落差別解消法もまた成立(12月)したことに触れる一方で、「部落と部落民を暴き、ネット上に晒す」といった部落差別を助長し差別を扇動する行為や、「部落地名総鑑」のネット公開と悪用、自力救済するしかない被害者救済方法の不足状況など、深刻な課題が山積みになっている現状について発言。

同氏は、「書かれたらおしまいというヘイトスピーチと共通の課題がこの部落差別にはある」と強調したうえで、今後、被害者救済機関の充実や、自治体・企業による対策が徹底されるべきだと訴えた。

閉会に先立ち、先月18日に被疑者が送検された「在日コリアン女性に対するツイッター上の脅迫事件」について師岡康子弁護士が報告。その後、集会アピール文が全会一致で承認された。

(韓賢珠)