「『もう一つの社会』という夢」をつなぐ一歩−結実した「諦めない者たち」の闘い／中村一成

権利闘争にはかり知れない影響をもたらす大阪判決

広島地裁に向かう広島無償化裁判の関係者たち（7月19日、撮影：李永徳）

「『もう一つの社会』という夢」へと向かう一歩を現実の出来事として記録する。物書きとしての喜びを噛み締めて執筆している。

「差別は国の特権なのか」

「公」相手に勝つのは並大抵ではない。在特会らを相手取った京都、徳島の闘いでは、司法は人種差別を認めて勝訴を言い渡した。在日朝鮮人女性のライターが元在特会会長を訴えた訴訟では、大阪高裁は複数のマイノリティ性が絡み合い、被害を深刻にする「複合差別」までをも認めた。民間が被告の場合、司法の認識は進化しているのだが、こと被告が「公」になると、司法は権力を追認してしまう。ヘイト・スピーチ解消法の施行は意義深いが、この観点から照射すれば、「差別は国の特権なのか」と毒づきたくもなる。