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〈大阪朝高創立60周年〉同胞大祝典会場で、学校を拠点につながる明日

2012年11月30日 15:30 主要ニュース

支部や分会、学校の代表らで競う歌のコンクールも行われた。(写真は優勝した総聯生野西支部)

大阪朝高創立60周年を記念する同胞大祝典(11月23日)は、同校が歩んできた60年の歴史と共に1、2世たちが守ってきた大阪民族教育がこんにちまで脈々と受け継がれていることを示した。ある同胞(60、女性)は、5,800人もの参加者で盛況する会場を見ながら、「時代や環境が変わっても、同胞たちの学校に対する愛着は変わらないと思った。ここにウリハッキョがあるから、同胞たちが集まるし同胞社会が繋がることができる。子どもたちに民族心を教える朝高だけは必ず守らなければならない」と話した。

自力で守ってきた学校

60年続く大阪朝高民族教育の正当性が示された学生公演で重奏を披露する民族器楽部

「今日にいたっても子どもたちが、こうして朝鮮語で話し、朝鮮の歌を歌う姿は、私の誇りだ」

同校に息子を送ったという康鍚済さん(92)は、生徒たちが披露した公演を見ながら目頭を押さえた。康さんの息子はすでに帰国し、現在は学校に通う家族、親戚はいないが、学校創立60周年を同胞たちと共に祝いたいという思いで会場を訪れた。「私たち1世は、日本の植民地統治下であらゆる差別や抑圧を受けてきた。祖国解放後、この地にウリハッキョを建て、子どもたちを朝鮮人として育てることが私たちの使命だった」

大阪朝高は祖国解放戦争期の1952年4月10日に、大阪市生野区に設立された。57年には東大阪市玉串に移転し、61年には3階建ての鉄筋校舎を建て教育施設としての環境がいっそう整備された。73年には現在の場所(東大阪市菱江)に学校を移転。現代的な5階建ての校舎と文化会館が建設された。

73年当時、学校建設事業に参加したという姜兌桓さん(77)は、「当時、同胞たちの生活状況は大変厳しかった。けれどみんなが1日3食を2食に減らしてでも、子どもたちに民族教育をさせたいという気持ちで、いっせいに学校建設事業に取り組んだ」と振り返る。姜さんは学校建設時、祖国から教育援助費と奨学金が送ってきた際の感激について述べながら、「同胞たちは、祖国から送られた貴重なお金は、子どもたちの将来の教育のためだけに使わなければならならないと話し合い、学校建設を全て自分たちの手で成し遂げた」と振り返った。

祝典終盤、大阪朝鮮歌舞団による民謡に合わせ「統一列車」を作り場内を駆け巡る、参加者たちの溌らつとした姿を見ながら姜さんは、「彼らのような学生、同胞たちがこれからもずっと大阪民族教育を守っていってくれるだろうという確信を得ることができた。子どもたちの権利擁護のために、私も最後まで戦うつもりだ」と語った。

学校を中心に

同胞大祝典は、朝高卒業生たちの同窓会の場にもなった。(写真は22期)

この日会場には、久々に会った同級生や先輩、後輩、恩師たちと杯を交わし互いの近況報告などで盛り上がる多くの同胞たちの姿があった。

10年ぶりに学校を訪ねてきたという姜武廣さん(37、40期)は、「朝高に来ると当時の思い出が浮かぶ。自分たちが入学した年から、高体連の参加資格を得ることが可能になった。権利獲得のために闘う同胞たちの姿も記憶している。その分、朝高時代は勉強はもちろん朝青活動、部活動に皆が熱心に取り組んだ」と話した。

現在、府下の朝鮮学校幼稚班に子どもを送る姜さんは、「経済的な事情を考えると、高級部まで民族教育をさせることは困難な状況にある。けれど高級部にいたるまでの教育システムがあるから、卒業生たちと同胞たちがこうして集まるし、同胞社会が維持されていると思う。どんなことがあっても、この学校は守らなければと思う」と語った。

大祝典で行われた「歌のコンクール」で優勝した総聯生野西支部は、優勝賞金を大阪朝鮮第4初級学校に全額寄付するために、出演者全員で意気込んだという。責任者の金敏行さん(50、27期、勝山北分会分会長)は、学生公演に出演した娘(高3)と同じ舞台に立ち、思い切り歌を歌う生徒たちの姿を見ながら、子どもをウリハッキョに送って本当によかったと思えたという。金さんは「(朝鮮学校を取り巻く環境は)難しいことも多いが、少しでも多くの卒業生や同胞、日本市民の賛同を得られるよう微力ながら尽くしたい」と語った。

一方、会場には行事運営のために忙しく動き回る朝青員や同校出身者を中心とした朝鮮大学校学生たちの姿があった。

行事への動員活動に奔走した河慶秀さん(25、52期)は、多くの同胞が集まった様子を見ながら、「同胞たちの学校に対する思い入れを感じた。学校が存在する意義を再確認できた」と話した。「今後は私たち若い世代が先代の意思を継いで学校を守っていかなければならないと思った。朝高を中心としたネットワークのいっそうの強化に努めたい」

(周未來)

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