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日ごとに増す遺族の苦痛/未解決の強制連行被害者遺骨問題

2012年11月28日 13:17 朝鮮半島

【平壌発=金志永】朝鮮には日帝植民地統治下で肉親を失い、その遺骨の行方すら知らない強制連行被害者の遺族がいる。高齢になった彼らはいま、遺骨が返還される日を一日千秋の思いで待っている。

 日本が避けた過去清算

朝鮮の公式見解によると、植民地統治時期に日帝は840万人の人々を強制連行して戦場や日本各地の工事現場に追いやった。そこで犠牲になった朝鮮人は数多い。

ところが日本政府は、朝・日平壌宣言で過去の清算に基づいた国交正常化を約束してから10年が経っても、強制連行被害者とその遺族に対して何の措置も講じていない。

この間、日本にある朝鮮人強制連行真相調査団がたゆみない調査活動を通じて42万7129人の被害者名簿を収集。平壌でも公開された。

また2004年には、東京・祐天寺に保管された朝鮮人犠牲者1100人余りの遺骨に関する資料に基づいて朝鮮で調査活動が行われた。その結果、朝鮮に住む遺族が確認された。

その年の12月には、祐天寺の資料に父親の名前があったキム・ヨンホさん(平壌市在住、当時67歳)、キム・ウォンギョンさん(平壌市在住、当時62歳)と2人の関係者が東京朝鮮人強制連行真相調査団の招請で日本を訪問することになった。しかし日本政府は出国直前になって彼らの日本訪問を妨害した。06年7月にも日本政府は2人の入国要請を却下した。

2人との連絡を試みたところ、キム・ヨンホ氏さんは一昨年12月、父親の遺骨と対面できないまま世を去った。

一方、キム・ウォンギョンさんは、遺骨返還を求める遺族の心情を語った。

彼は、「日本に対して過去清算を促すことこそ、父の遺骨の返還を実現できる道」だとしながら、「平壌宣言に基づく国交正常化が早急に実現されなければならない」と述べた。

遺骨問題に対する朝・日両国政府の対応は対照的だ。

朝鮮側は、日本人遺骨問題を「人道的立場で善意と寛大な心を持って対応」(朝鮮外務省)している。

平壌市・竜山墓地をはじめ、朝鮮各地に安置されている日本人遺骨に関しては合葬などの方法で保管措置が講じられてきた。

また、遺骨の調査や墓参りのために朝鮮を訪問する遺族の便宜を最大限に図っている。遺族らはこれに対して心から謝意を表している。

一方、強制連行被害者の問題に対して日本は加害者としての責任を果たすどころか、遺族の日本訪問を阻止するなど、問題解決に障害をきたしてきた。

朝・日双方は、日本人遺骨問題を円満に解消するためには政府の関与が必要であるという判断によって、8月末、課長級の予備会談を行った。11月中旬には、モンゴル・ウランバートルで4年ぶりに朝・日政府間会談が開かれた。

現時点では強制連行被害者の遺骨問題に対する朝鮮側の公式な言及はない。過去には朝鮮外務省関係者が、平壌宣言の精神に沿って日本が強制連行被害者の名簿を公開し、遺骨の発掘と身分確認及び返還作業、未確認の遺骨に対する保存措置など、一連の対策を講じなければならないという見解を明らかにしたことがある。

また、平壌に事務局を置く朝鮮人強制連行被害者・遺族協会は、「高齢になった遺族の精神・肉体的苦痛は言葉であらわせない」とし、日本政府が人道問題解決に優先的な関心を払って具体的な措置を講ずることを一貫して要求している。

(朝鮮新報)

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