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《原子力法》の改正

2012年07月01日 11:14 春・夏・秋・冬

春夏秋冬消費税増税劇のドタバタに紛れて原子力基本法が改正された。利用目的に「わが国の安全保障に資する」の文言が追加された。当然ながら、日本が原子力の軍事利用と核武装への道を公然と開いたと指摘する声が上がった。

◆法案は民主、自民、公明の3党協議でまとめられ、わずか4日間の国会審議で成立した。改正部分は目立たない付則に盛り込まれ、3党以外の議員は関心を払わなかったという。

◆日本の原発政策は、核兵器製造の能力保持に目的があると指摘されてきた。国内には原爆を造るのに必要な施設がすでにある。今回の法改正は、核に関する本音が露呈したものと受け止められているが、注目すべきは、その手法とタイミングだ。「国民不在の政局」という茶番劇を見せられている間に核武装につらなる現状変更が行われた。国民に対する説明はなく、社会的な議論も起きなかった。

◆「北朝鮮の核開発」をあれほど騒ぎ立てたメディアもおとなしい。今回の法改正については、法案成立直後に東京新聞が先行報道したが、それまではすべてのメディアが沈黙していた。わずか半世紀前、国民へのウソを重ねながら侵略戦争へと突き進んだ悪夢を想起させる。消費税政局の帰結は「時代の変化が求める政界再編」との見方もあるが、権力ゲームの様相を呈する日本政治の混乱には、隠された別の意図を感じずにはいられない。(永)

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