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〈本の紹介〉失われたもの/斎藤貴男著

自らの根っこ掘り下げ、会心の庶民史 反骨のジャーナリストとして知られる斎藤貴男氏による初エッセイ集。叙情的なタイトルと装丁を見て、一瞬のうちに現代社会が失ったもの、いや、著者流に言えば奪われたものの数…

〈本の紹介〉ヘイトスピーチはどこまで規制できるか/LAZAK(在日コリアン弁護士協会)編 板垣竜太・木村草太 他著

思考停止の議論を穿つ 特定の人種・民族への差別を扇動するヘイトスピーチは「どこまで」規制できるのか。 ヘイトスピーチが社会問題化し数年、法規制についてされる議論のほとんどは「表現の自由」の壁の前で思考…

〈本の紹介〉平和なき「平和主義」/権赫泰著、鄭栄桓訳

憲法は強力な軍事力隠す「麻酔剤」 本書のタイトルにまず、目を奪われた。平和なき「平和主義」ーー戦後日本の思想と運動。いい得て妙である。まさしく戦後71年の日本を一言で表せばこう表現されるのではなかろう…

〈本の紹介〉永遠の不服従のために/辺見庸アンソロジー

醜い風景の根源を撃つ 戦争、テロ、強者への服従―世界中で荒れ狂う米国のとてつもない強大な暴力と追従する日本の政治。その強大な力に対して作家・辺見庸氏の腹の底から噴き上げてくる激しい憤りをぶつけたのが「…

〈本の紹介〉古代史研究七十年の背景/上田正昭著

差別に抗する歴史観を提示 本書は上田正昭さんの生前最後の遺作。〈上田史学〉の軌跡を自らたどったもので、短い文章であるが、含蓄とエスプリにあふれて、文句なく面白い。 常に朝鮮半島、中国など東アジア全体の…

〈本の紹介〉沸点 ソウル・オン・ザ・ストリート

作:チェ・ギュソク、訳:加藤直樹、監訳・解説:クォン・ヨンソク 本書は、海を隔てた南の地で繰り広げられた87年「6月民衆抗争」の道のりを描いた漫画である。 朝鮮戦争、反共教育、労働組合、光州人民蜂起、…

〈本の紹介〉李鶴来著「韓国人元BC級戦犯の訴え」

日本の植民地支配の醜悪さ、不条理の極み 本書の著者、李鶴来さんは、1925年、日本統治下の朝鮮の全羅南道宝城郡に生まれた。皇民化教育が徹底していく時代。村ではすでに独立運動のことなど聞くこともなくなっ…

〈本の紹介〉福沢諭吉の教育論と女性論/安川寿之輔著

「帝国意識」形成を先導した思想家 数々の福沢諭吉を批判する書を世に出しながら、2000年、福沢研究で2冊目となる「福沢諭吉のアジア認識」を出版。丸山眞男を筆頭とする「戦後民主主義時代」の研究者たちによ…