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〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 12〉逆井聡人「〈焼跡〉の戦後空間論」を読む/「焼跡」「闇市」を読み替える

去る3月17日、東京外国語大学にて「冷戦期東アジアと〈廃墟学〉の射程」という表題のもと逆井聡人(さかさいあきと)著「〈焼跡〉の戦後空間論」(青弓社2018)の書評会が開かれ、筆者も評者の一人として参加…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 11〉帝国日本の侵略的版図を読む/黒島伝治

日本のプロレタリア作家として、すぐれた反戦小説および農民小説を書いた黒島伝治には、シベリア出兵に派遣された実体験から、不合理で非人間的な軍隊への憎悪をこめて書いた「橇」「渦巻ける烏の群」などの代表的作…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 10〉近代日本の罪業を、地の底から撃つ/上野英信

今月15日、松本昌次さんが亡くなった。未来社で編集者を務め、影書房を創設し、花田清輝、埴谷雄高、井上光晴をはじめ戦後文学者の本を多数世に出した功績、時代と社会、政治と文化を射抜く鋭い批評眼から多くを学…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 9〉朝鮮戦争と日本文学⑤小林勝/果たされるべき未来への「架橋」

1971年に45歳の若さで早逝した小林勝は、文字通り生涯をかけ朝鮮と向き合い戦後日本を生きた稀有な日本人文学者であった。 小林の唯一の書下ろし長編「断層地帯」(1958)の冒頭近く、作者の分身たる朝鮮…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 8〉朝鮮戦争と日本文学④松本清張/戦争を隠蔽するものに挑む眼

今年刊行された高橋敏夫著「松本清張『隠蔽と暴露』の作家」(集英社新書2018.1)は、近年ますます再文庫化や新装版化が相次ぎ、テレビドラマ化や再放送、リメイクが繰り返されるなか、松本清張の人生経験と著…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 7〉朝鮮戦争と日本文学③井上光晴/原罪・責任としての「朝鮮」に向き合う

日本文学と朝鮮、とりわけ朝鮮戦争とのかかわりについて述べようとするとき、井上光晴を取り上げないではすまされないだろう。井上の文学における「炭鉱」「天皇制」「戦争」「原爆」「共産党」といった原体験には、…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 6〉朝鮮戦争と日本文学②/朝鮮戦争を描いた日本の文学を紹介する著書

朝鮮戦争との断絶、共有の手がかり 朝鮮戦争への無責任、無自覚、また無関心と忘却の中、これらの問題をも含めて、日本の文学はどれだけ、いかにこの戦争と向き合ったのか。丸川哲史「冷戦文化論」(2005)は、…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 5〉朝鮮戦争と日本文学①/堀田善衞「広場の孤独」

朝鮮戦争下の「孤独」を読み直す 筆者の勤務する朝鮮大学校の近隣には在日米軍横田基地が位置しており、朝鮮国連軍後方司令部が置かれている(このことすら認識している日本人は少ないのではないか)。ここ10年あ…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 4〉朝鮮学校で日本文学を教えること/第4回 ウリアド(ウリ広告機構)広告作品から

筆者は朝鮮学校で日本語、日本文学を教えているものであるが、本業のかたわら、親しい同胞デザイナーやアドバイザーらとともに、一昨年末に「ウリアド(Uri-AD、ウリ広告機構)」という公共広告メディアを立ち…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 3〉「時間の芯の腐蝕と天皇家賛美」/石牟礼道子(下)

「独占資本のあくなき搾取のひとつの形態といえば、こと足りてしまうかも知れぬが、故郷にいまだに立ち迷っている死霊や生霊の言葉を階級の原語と心得ているわたくしは、わたくしのアニミズムとプレアニミズムを調合…