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短編小説「幸福」8/石潤基

「逃げたのは、何ですか?」 僕の靴音に、びっくりして立ち上がった彼女は、顔をこわばらせて僕の方をちらと見た。まだあたりはうす暗かったが、白い顔とはちきれそうに元気な若さが溢れた女性であった。どこかで聞…

短編小説「幸福」7/石潤基

実習教員である僕の学生たちに、またこのような質問に当然、責任をもって答えてやらねばならなかったが、実際のところ、僕には何の用意もできていない始末だった。だから僕が、臨床患者を求めて、とくに傷痍軍人が集…

短編小説「幸福」6/石潤基

「わかるかなあ? 幸福というものはだ、人民のたえまない前進運動と、闘争の隊伍のなかで、それに完全に融けこんだ自分の歩みを感ずることなんだ。千里馬の大進軍という巨大な革命隊列の流れのなかで、たがいに引き…

在朝被爆者補償問題、“早急な救済措置を”/参院会派「沖縄の風」が外務省に要請

在朝被爆者問題と関連し、参院議員の伊波洋一氏と高良鉄美氏からなる会派「沖縄の風」が4日、早急な救済措置を求めて外務省に要請行動を行った。外務相と厚労相に宛てた要請書を高良議員が國場幸之助外務大臣政務官…

短編小説「幸福」5/石潤基

「われわれは往々にして、われわれが勝ち取った幸福に対して、その外面にばかり目を向けるあまり、本質を見落とす場合が多いようだ。いいかね? 好色漢の幸福が女性にあるとすれば、守銭奴の幸福は金銭にある。一方…

〈学美の世界 32〉無意識の安心感・同調から芽生える自我/康貞淑

子どもたちの作品に、子ども特有のしるし(印)があると感じた人は多いだろう。 天体、動植物、乗り物、人工物…共通認識として描かれたしるしに、集団生活の心理的同調を垣間見る。しかし、それらがまったく別の意…

短編小説「幸福」4/石潤基

私は唖然とした。突然の質問に、私はすっかりあわててしまった。もちろん彼に、自分の幸福について考える必要があると意見をしたときは、私自身は幸福だということを言外に意識していたに違いなかった。微力ながら私…

〈民族教育と朝鮮舞踊 7〉初めての祖国訪問と舞踊教員講習

第10次教員祖国訪問団(1981.7∼8) 民族教育における舞踊教育では、祖国の暖かい配慮と直接的な支援が不可欠であった。歴史的事実として祖国は、異国の地で民族の魂と伝統が込められた朝鮮舞踊を学び、舞…