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短編小説「道づれ」12/キム・ビョンフン

汽車はすぐに発車した。例の乗客たちはデッキから身をのりだすようにして何度も頭を下げながら 「お願いしまあす!」 「ご苦労さんです!」 と、しきりに私の労をねぎらってくれた。

短編小説「道づれ」11/キム・ビョンフン

私は彼女がうずくまったまま泣いているような気がして、思わず鼻柱がじーんとしてくるのをおぼえた。 さて、どうしたものだろう?……私はデッキの上を見回した。いつの間にかそこには、先刻、彼女から魚の講義を聴…

〈民族教育と朝鮮舞踊 6〉舞踊教育者として

『朝鮮児童舞踊基本』『学生少年舞踊基本』の普及 1975年4月に朝鮮大学校文学部を卒業した私は、師範教育学部の助手として社会生活の第一歩を踏み出した。教員志望ではなかったが、文学部卒業生の大半は中・高…

〈本の紹介〉私の名前はチャンホンスン―全力を尽くしてきた人生/張弘順

娘から自分史を残すように言われ筆を取った筆者・張弘順さん。在日朝鮮人2世として生きてきた人生を、「いつの時も真剣に考え、全力を尽くしてきた」と振り返る。話題は子育てや教員生活、祖国・民族、朝・日友好、…

裾野を広げ、100回展目指す/第58回「日・朝友好展」

神奈川で2年ぶりに開催 第58回「日・朝友好展」が6月22日から27日にかけて神奈川県の横浜市民ギャラリーで開催されている。 1960年に神奈川県川崎市で初めて開催された同展示会は、朝鮮と日本両国の友…

短編小説「道づれ」10/キム・ビョンフン

水を4回ばかり替えたことからおして、あれから七つか八つ目の駅をすぎたころのことである。思わぬことが持ち上がった。 水を替えてやるべき次の駅に間もなく着くというのに、彼女は何度も缶から温度計を引っ張りだ…

短編小説「道づれ」9/キム・ビョンフン

「何か、また変わったことでも起きたかね?……またポンプを押そうか?……」 「いいえ、水を替えなければならないんです、おじさん……」 彼女は振り向きもせずそう言うと、胸のポケットから青い表紙の手帳をとり…

〈学美の世界 30〉「余計なこと」を教えず自立を促する/玄明淑

大人が統制しやすい画一化された「地図型知性」ではなく、不確実なこの時代を生きる子どもたちが自分の力で、あるいは友たちの力を借りながら、「ヘッドライト型知性」で生き抜くための教育が求められている。それは…