公式アカウント

〈くらしの周辺〉幼い涙/梁大隆

早いもので今の職場に移り二度目の春を迎えた。 春は別れと出会い、そして旅立ちの季節。卒業や入学、そして新たな生活へのチャレンジとまさに希望に満ちた良い季節である。

〈くらしの周辺〉正しい選択/成耆鉉

富士山の見えない富士見台公園。この広くて芝生の美しい公園は、以前住んでいたアパートとプレハブ実験小屋の間にある。 深夜の公園はまさに野良ウサギ(捨てウサギ)たちの運動場。数羽のウサギたちが元気に跳ね回…

〈くらしの周辺〉姪のファイティング/成耆鉉

「ウェアジェは明日帰るの?」「うん、明日朝に新幹線乗らんとあかん」「じゃあ、一緒に行かない?」 こうして始まった、チョッカタル(姪っ子)と一緒の1時間の電車の旅。4年生になった彼女は毎日電車通学。田舎…

〈くらしの周辺〉支配/成耆鉉

つくばに来る前、八王子で研究生活を送っていた。研究室は大学内の空き地に建てられたプレハブ小屋。生物好きの同僚たちが生き物を持ち込み飼っていた。 アカハライモリ、イベリアトゲイモリ、コオイムシ、トカゲ、…

〈くらしの周辺〉トンボとボンネット/成耆鉉

研究都市、つくば。人口約19万人。1万3千人が研究に従事する。 梅雨明け直後の土曜の昼下がり。私は実験を早々切り上げ、他の研究所で行われるセミナーに参加するため、車に乗り込んだ。午後の日差しが照りつけ…

〈くらしの周辺〉「チョンリョン ソンセンニム」/成耆鉉

もう12年も前のことになる。朝鮮大学校理学部(当時)初となる祖国での教育実習。最終日に担任の先生から渡されたノートには、生徒たちの素直な気持ちがちりばめられていた。「先生が教室に入ってこられた瞬間、私…

〈くらしの周辺〉在日のネットコミュニティ/劉英治

最近〝mixi(ミクシィ)〟というサイトを利用している。一言で説明するのは難しいが、要は一見さんお断りのネットワークとでも言おうか。そこに参加するには誰かの紹介が必要で、まずは自分のプロフィールのペー…

〈くらしの周辺〉自分にとっての「百城」を/劉英治

故事成語に「丈夫、書万巻を擁さば、何ぞ百城に南面するを仮らんや」とある。 高位高官という世俗的な価値よりも、趣味の世界に生きる事こそ尊いという価値観だ。